福井市上文殊町の特別擁護老人ホーム「文殊園」の玄関に平成9年の1月ビリケンと言われる神様?の像が置かれた。これには私がかかわっている。近くの公民館脇に変わった像が放っておかれているとのはがきを受け取った奉行はコレがビケン工業という擬木(ぎぼく)を作る会社の先代の社長の試作品であることをつきとめた。ちなみに擬木とは最近よくオートキャンプ場などで見かける木に似せたコンクリートの造形。ここの先代は商売に結びつけようと考えたのか、よりにもよって体長1メートルほどの「ビリケン」を作った。

ビリケン様は飛脚に似てる?
「ビリケン」はアメリカの女流作家が創作した造形。どういう理由か「足に触ると幸せになる」「お金がたまる」という伝説がある。しかし先代の苦労も空しく、福井のビリケンは実際に商売に結びつくことはなかった。先代の存命中はこの像も工場のどこかに捨てられていたが、彼が亡くなり、事業も拡大して工場を大きくしようとしたとき、今の社長はビリケンの処遇に困り果てた。起業者で父の制作した像であり、一説には神様と言われている。捨てるわけにはいかない。で、とりあえず、「神でなくオブジェとして」敷地の脇に置いておくことにして。これを奉行に発見されたのだ。彼は奉行に悩みを打ち明け、奉行は広く一般にビリケンを受け入れ先を募った。そして、すべての人たちの希望を満たす形で老人ホームに置かれた。もちろん化粧直しの費用はビケン工業持ちで…。

本物そっくり「擬木」