九頭竜川が日本海に注ぐ坂井市三国町。北前船交易が盛んだったころ、三国には、「滝谷出村」と呼ばれにぎわいをみせた地域があります。今も風情ある街並みや格子戸が残り、往時の情緒を感じ取ることができます。

　その街の一角に2021年4月にオープンしたのが「出村北前茶屋」です。大正時代に建てられ、近年、空き家になっていた古民家を改装して営業をしています。

　1階はカフェスペース。コーヒーや紅茶などの飲み物と軽食を提供しています。2階には畳敷きと板間の和室があり、レンタルスペースとして展示や会議などに利用できるようになっています。

　運営しているのは「NPO出村みらいプロジェクト」のみなさん。近隣住民の「人が集う場所が欲しい」という声に、一人暮らしのお年寄りなどが集まる憩いの場を提供しようと始まりました。

　営業日は、火曜日と金曜日のみ。金曜日には、名物ランチメニューの「甘エビ入りかき揚げおろしそば」が提供されます。地元三国町の甘エビを使った手作りかき揚げがのったおろしそばで、価格は飲み物付きで500円（税込）。一人で食事をとることの多い近所のお年寄りが気軽に何度も来られるようにと可能な限り抑えた価格となっています。

　ゆくゆくは営業日を増やし、近所の人がいつでも来られる憩いの場として、まち歩きの観光客が立ち寄り地元の人と交流を持てる場として「地域のにぎわいづくりに繋げたい」と代表の高森さんは話してくれました。