かつて鯖街道の宿場町として栄えた熊川宿（若狭町）。その街並みや、そこに暮らす人の優しさに引かれ、大阪から移住してきた女性がいます。小山千秋さんです。

　もともと、人をもてなすことが好きだった小山さんは、現在、熊川宿に残る古民家を借りて、お店を営んでいます。熊川宿を選んだ理由は、もちろん、魅せられた場所であり、多くの観光客が集まる場所だったから。古い建物を四季折々の花で飾り、熊川宿の魅力のおすそ分けをしています。

　小山さんがお店を開く古民家は、熊川宿の中心部に残る旧逸見勘兵衛家住宅。江戸時代後期に建てられた若狭町指定の文化財です。現在は、内装を改修し宿泊体験施設としても人気で、歴史の重みを感じられると、小山さんも、とても気に入っているといいます。

　小山さんが営むカフェは、その名も「熊川五感キッチン　 Kazane（かざね）」。熊川では、風の音や川のせせらぎなど、自然の音を楽しむことができることから、この名前を付けたといいます。

　カフェの看板メニューは、「鯖の和風キーマカレー」。鯖街道にちなみ、よく煮込んださばがミックスされた本格的なカレーです。また、若狭町の特産の梅も隠し味に使われ、観光客の舌を楽しませていますが、そこには、さらなるスパイスが。それは、「見るだけでなく味わえる熊川宿にしたい。まだまだ多くの魅力を秘めている熊川に来てもらうきっかけとなりたい」という熊川宿への小山さんの思いでした。