福井県鯖江市で作られる眼鏡枠の多くは、金属フレームの材料にチタンを使っています。そのチタンの加工技術を応用して考案された製品が「チタン箸」です。

　他の金属に比べて金属臭が少ないというチタンの特徴が「箸の素材に合うのではないか」と、眼鏡職人の勝木信弘さんが20年前に開発しました。

　開発にあたり、勝木さんは箸の最適な太さや比重の位置を求めるため200種類以上の箸を研究したといいます。眼鏡職人が持つ技術を次の時代に継承するためにも「チタン箸」開発にかける思いはひとしおでした。

　カラフルな色合いを放つ「チタン箸」ですが、塗料は一切使われていません。電圧をかけて発色させているのだといいます。塗料がはげることがないため長く愛用でき、さらに100％再生可能な金属でもあるため、エコな箸としても注目されています。

　現在、アジアやヨーロッパからも受注があるなど、世界からも注目されています。勝木さんは「日本人の心である箸を世界に広めたい」と今後の目標を話しています。