山深い美浜町新庄地区にある「新庄渓流の里」は、自然の川を生かした釣り堀で誰もが簡単に渓流釣りが体験できることで人気の場所。

　1年を通じて営業しているが、雪が積もる冬に訪れる人は少ない。しかし、そんな中でも釣り客を喜ばせるための作業は行われている。

　前田義博さん22歳。神戸市で生まれ育った前田さんは小さいころから魚を育てることが好きで、養殖技術を学ぶ専門学校へ進学した。卒業を間近にしたころ学校の先生から教えてもらったのが美浜町の地域おこし協力隊。その仕事は新庄渓流の里にある新庄淡水漁業組合での川魚の養殖だった。前田さんはこれに応募し養殖技術を学ぼうと決心。卒業後協力隊の一員としてこの地にやってきた。

　新庄渓流の里で釣れる魚はニジマスとヤマメ。そのすべては、この場所で養殖されている。山からの湧水を利用して養殖されている魚の数はおよそ4000匹。前田さんは組合長に教わりながら毎日餌やりや生け簀の掃除などを行っている。

　新庄渓流の里が釣り客で賑わうのは、春から秋の行楽シーズン。その期間に向けて魚が絶えることないようにと熱い思いで養殖に取り組む前田さん。観光資源が少ないこの地を盛り上げられるように。冬の間、冷たい水と格闘しながら魚を大切に育てている。