草木染。天然の植物の色素を使って染められる方法です。自然が作り出すその色の数は400以上あり、柔らかな色合いは化学染料ではまねできないと言われています。

　草木染の魅力にはまり、永平寺町藤巻に草木染工房「風雅」を構えたのは、石川雅夫さんです。

　石川さんが草木染を始めたのは、大阪に住んでいた約30年前。生まれた子どもの皮膚が弱かったため、食べ物に気を使うようになったのがきっかけでした。そして、さらなる安心安全を求め始めたのが、直接肌に触れる衣服を草木染でつくる事でした。

　子どものために始めた草木染でしたが、その魅力にのめり込んでいった石川さん。子どもにとって良い環境を求め、福井に移住してからは、庭に染料となる植物を植えるなど、徐々に草木染の活動の幅を増やしてきます。

　草木染の魅力、それは自然が作り出す色合いだと石川さんは言います。

　媒染（繊維と色素を結びつける役割）で使用する金属の種類や濃度が変わると、同じ染料を使っても染め上がりに差が出ます。その奥深さがたまらないのだとか。

　今では定番になっている「オーガニック」という言葉。自然志向の高まりと共に、本当に良い物として、草木染の価値が見直され始めています。

　安心安全の大切さを感じてきた石川さん。「人は自然と切り離しては生きていけない。だから自然の大切さを草木染という手段で伝えていきたい。」と意気込んでいます。