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“正しく疑う力”を 中学生がサイバー犯罪から身を守る術学ぶ 福井県内でサイバー犯罪の相談件数が急増
「誰でも簡単に稼げる――」そんな甘い言葉に、気付かないうちに犯罪に巻き込まれる若者が増えています。スマホ一つで被害者にも加害者にもなりうる時代、福井市内の中学校でサイバー犯罪から身を守るための特別授業が行われました。
「何も知らずに『お金もらえたらいいや』と思って口座を相手に渡すと、私たちも犯罪者になる」
生徒を前にこう語りかけるのは、福井県警の職員です。県警は中学校や高校、大学でサイバー犯罪の防犯講習を開いています。背景には、闇バイトなど県内のサイバー犯罪相談件数の急増があります。2024年は前年よりも500件以上多い2583件と過去最多を記録しました。
23日の講習は警察庁の協力を得て北陸中学校の生徒90人を対象に開かれ、SNSで拡散される闇バイトの募集投稿を題材に、正しい情報と危険な投稿の見分け方が説明されました。その中では、安易な応募で知らないうちに加害者になることもあると警鐘が鳴らされました。
また、中学生もスマートフォンを持つことが当たり前の時代になった中、アプリを使う際の注意点も示されました。警察庁の職員は「アプリを入れようとするとこういう画面が出る。このアプリからカメラや連絡先にアクセスしていいですか、と聞かれている」と説明。
注意を無視してダウンロードしたアプリを起動すると―
生徒「勝手にカメラを起動されている!」
アプリを通して、第三者にスマホのカメラが共有されてしまうリスクがあります。
生徒「実際にやられたらヤバい!」
続いて、警察庁の職員が「生成AIを使ってフェイク動画(偽動画)を作ります」と説明し、パソコンのカメラを使って男子生徒の顔を動画で撮影。次に女子生徒の顔も撮影し、互いの顔を重ねるとー
生徒「目が変わった!」
警察庁の職員は「場合によってはフェイク動画が政治に影響してしまうことも、使い方によっては犯罪に加担してしまうこともあるので取り扱いには注意してほしい」と呼び掛けました。
福井県警サイバー犯罪対策課・竹林知子警部:
「知らない間に犯罪に加担してしまったり、フェイク動画のように誤った情報や犯罪被害にあうような情報も含まれているので、正しい情報と誤った情報を判断する力を付けてもらいたい」
体験を通して生徒は「怪しいサイトにアクセスしたときには“有害なサイトにアクセスしています”とスマホから出る危険信号を見逃さないようにしたい」「自分が知らないうちに写真を撮られたり、家族や友達のことまでバレてしまうのはこわいと思った。これから私もバイトをすることがあると思うので、サイトを疑ってから応募したい」と話していました。
県警では今後も、県内の学校や企業を対象に講習を続けていく方針です。また、被害があっても「お金が戻らないから…」と届け出をあきらめる人も多いということですが「まずは相談して欲しい」と呼びかけています。
使い方ひとつで、自分だけでなく家族や友達まで巻き込んでしまうこともあるスマートフォン。便利な時代だからこそ、ネット社会を生きる今、必要なのは正しく疑う力かもしれません。
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