生き生きとした恐竜のイラストが可愛らしい手拭いがあります。昨年東京の国立科学博物館で行われた恐竜博2019のグッズです。

描かれている恐竜のイラストは、平安時代に描かれたとされる『鳥獣戯画』をモチーフにしたもので、恐竜たちが見せる可愛い姿が受け、SNSで話題を呼び入手困難になるほどの人気ぶりでした。

このイラストを描いたのが、現在越前市で活動を続ける墨絵作家の上田みゆきさんです。

墨絵の独特なタッチで表現された恐竜たちは表情豊かで、今にも動き出しそうな躍動感にあふれています。しかし、残念なことに恐竜博が終了した今、これらのグッズを手に入れる手段はありません。

上田さんは大学進学で上京し24歳からイラストレーターの仕事を始めました。直後から大企業の仕事が次々と舞い込み、墨を使った独特なタッチの画風で、人気のイラストレーターへと躍進していきました。東京で活躍の場を広げた上田さんは、2013年に帰郷。福井に戻ってからはライブパフォーマンスを始めるなど、仕事のスタイルは大きく変わりました。

地元福井に戻って初めて気づいた、ふるさとのすばらしさ。その感情を、多くの人と共有したい。そのために、上田さんは、紙芝居など、地域に根差した新しい取り組みを始めています。