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保護司は今  罪の中身を知り、相手の人格と向き合う【福井】

保護司とは犯罪を犯した人たちの社会復帰をサポートする非常勤の国家公務員。これまであまり光が当たってこなかった保護司を紹介し、私たちと罪を犯した人たちとの向き合い方も考える。

11月14日、越前市内の公園で保護司たちによる啓発活動が行われた。
「犯罪予防活動にご協力ください!」
一人一人に声掛けするのは、越前市に住む保護司の佐々木弘子さん75歳。保護司とは、犯罪者や非行少年の社会復帰を支援する非常勤の国家公務員。法務大臣から委嘱を受けて保護司になるが、交通費など一部を除いて給与は支給されない。事実上は民間のボランティアだ。
<佐々木さんインタビュー>
「地域の皆さんに理解いただき、集まりの時には活動を推進していきたい」
佐々木さんが保護司として活動を始めたのは、今からおよそ30年前。越前市の寺の住職代行を務め、刑務所や少年院から出てきた人たちとの面談は、お堂の一角で行っている。
<佐々木さんインタビュー)
「シンナー事件とか窃盗、暴力、薬物もあるし、殺人罪もあったし、いろんな方に対応させていただいた。居場所がなかったり、地域から孤立してしまったり、そういう寂しさが犯罪に繋がっていくのではないかと私は感じている」
犯罪が起きると、「警察」「検察」「裁判」「矯正」「更生保護」の5段階で手続きが進む。保護司は、刑事司法の最終段階と呼ばれる「更生保護」の分野を担う。

立ち直りに向けて前向きに進む人がいる一方、新しい一歩に踏み切れない人もいるという。
<佐々木さんインタビュー>
「約束した時間に来てもらえなかったり、どこか行方をくらませてしまったり、連絡がつかない、それが一番困る。悩む。観察所のと連絡を取り合って、少しでも良い方向に向かうようにする」

県内には現在、419人の保護司がいて、充足率は96%と全国的にも高い水準。一方で、課題もある。
<保護司にQ&A>
Q年齢は?
保護司A「73になりました。」
保護司B「72歳です。」

保護司を務めるには、時間や精神的なゆとりが必要で、県内では60歳以上が全体の8割を占めている。若年層はほとんどいないのが実情で、宗教関係者や定年を迎えた元公務員らが多い傾向にある。社会が複雑になり犯罪が多様化する中で、更生保護については、近年、保護司以外の支援も必要だという考え方が強くなっている。

今月開かれた保護司の大会で、県の中村副知事はこう話した。
<中村副知事>
「社会復帰という点では、出所者を積極的に雇ってもらう企業、保護観察対象者を雇用してもらう企業をなんとか増やしたい」

罪を犯した人たちの受け皿となる「協力雇用主」を探すため、佐々木さんは働きかけを続けている。この日訪れたのは、越前市の「タケフナイフビレッジ」。仮に罪を償っても、生きる目的や金銭がなければ、再び道を踏み外す恐れが高まるという。
<佐々木さんインタビュー>
「仕事がないことには再犯を繰り返すことになるので。」
<雇用主インタビュー>
「自分の一存ではできないが、みんなにはかってなんとか前向きに」
周囲の目を気にする企業も多い中、前向きな返事がもらえた。
<雇用主インタビュー>
「守秘義務があるし、こちらが何もないような形で雇用すればいいと思う」

約30年にわたり、犯罪に手を染めた人たちと向き合い続ける佐々木さん。犯した過ちを反省し、立ち直ってもらうためには、地域全体で信頼と支援の輪を広げることが大切だと訴える。
<佐々木さんインタビュー>
「罪を犯すべき状況になったから起こった事件。誰しもが起こりえる、その方たちを特別視しない、それが大事。お互いが信じあう、その方の人格を信じて立ち直りをみんなで支えていけば、犯罪の数は減っていくと信じている」

2020年1年間の県内の犯罪認知件数をみると、累計は2760件余りで、このうち約65パーセントを窃盗が占める。暴行や傷害などが次で、約15パーセント、殺人や強盗などの凶悪犯は0.4パーセント。実際に保護司が面談するのは窃盗や傷害などを犯した人たちが多い。県内の再犯率は概ね4割余りで推移している。5人検挙されるとそのうち2人は再び罪を犯した人となる。主な要因として、仕事に就けず金銭的な問題が起こることがあげられ、このため罪を償った人を雇用する協力雇用主を増やす活動が大切になる。また、現在は高齢化や担い手不足が課題となっている。保護司の定年は原則77歳で、次の世代にバトンタッチしないといずれ人員不足に陥る。犯罪といっても様々。私たちひとりひとりが、犯した罪の中身を正確に知るとともに、相手の人格と向き合い、社会復帰のためには何が必要かを考えることが、更生保護の第一歩となる。

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