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予測が難しかった能登豪雨 線状降水帯の予測情報は発表されず 事前の備えの重要性を気象予報士が解説
視聴者から寄せられた天気にまつわる素朴な疑問や、珍しい気象現象、知りたいことなどを村田気象予報士がわかりやすく解説する「天気のギモン」のコーナー。今回のテーマは「能登半島豪雨 予測の難しさ」です。
◆21日(土)の天気図
まず、能登半島で大雨となった21日(土)の朝の天気図を見ると、秋雨前線が停滞し、南にある高気圧の周辺から非常に湿った空気が流れ込み、前線の活動が活発になったことが分かります。台風14号や熱帯低気圧が運んできた熱帯の空気も前線の活動を強める形になりました。
◆前日の予想雨量
では、前日の20日(金)に予想されていた雨雲を見てみると、大雨の中心となるのは能登半島よりも北の海上で、土曜日の夕方にかけて24時間で降る雨の量は、輪島で100ミリと予想されていました。
◆実際の雨量
ただ実際は、前線が予想よりも南下して活発な雨雲が能登半島北部にかかり、輪島で
24時間で降った雨の量は355ミリと、予想の3.5倍でした。
前線が数十キロ南下しただけで大雨の場所が変わるという、これが予測精度の現状で、想定をはるかに超える大雨となりました。
◆線状降水帯の発生
また今回は、能登北部に線状降水帯が発生しました。輪島では1時間に121ミリの雨を観測し、短時間で猛烈な雨が降ったことも大規模な災害につながった要因となりました。
◆線状降水帯の予測の精度
この線状降水帯の予測の精度について、現段階で気象庁は、予測情報を4回発表して線状降水帯が発生するのは1回程度、としています。また、この情報が3回発表されたら、そのうち2回が3時間で100ミリを超える大雨になるとしています。
ただ今回の能登の豪雨では、予測情報は発表されていませんでした。それだけ、線状降水帯の予測は難しいということです。
◆過去の豪雨
だ、線状降水帯が発生しなくても大雨になることはあります。例えば2年前、南越前町の集中豪雨や20年前の福井豪雨でも、線状降水帯は発生していません。集中合意イコール線状降水帯の発生ではない、ということです。
◆事前の避難準備の重要性
大雨になると たくさんの気象情報が発表されますが、重要なことは、数日前に大雨に関する情報を確認した段階で大雨に備える、ということです。大雨警報が発表されたら、具体的な避難行動について考える、という意識を持つことです。
更に、線状降水帯予測情報があるときは、早めに避難するなど警戒を高めてください。気象情報の発表が少し遅れることもありますので、やはり数日前からの情報を大事にしてください。
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