卓球の大藤沙月選手「素直、向上心、負けず嫌いが急成長の要因」コーチが分析　全日本選手権制覇に向けベスト32進出【福井】｜ニュース｜福井テレビ

21日から東京で行われている卓球の全日本選手権。大野市出身・20歳の大藤沙月選手が23日のシングルス初戦で勝利し、ベスト32に進出を決めました。
　
2024年、国際舞台にすい星のごとく現れ、一気にブレイクした大藤選手は、女子ダブルスの世界ランク1位、シングルスは7位で、日本勢で3番目。世界が認める超新星、大藤選手を取材しました。
　
大藤沙月選手は、2024年4月から本格的に卓球の国際ツアーに参戦し、10月には世界のトップ選手が集まる大会「WTTモンペリエ」の女子シングルスで初出場・初優勝を果たし、一躍、世界に名前が知れわたりました。
　　
大藤選手が所属するミキハウスの練習場で、大活躍となった1年を振り返るとともに、故郷への思いを聞きました。
　　
2024年、アジア選手権のダブルスでは、日本人として54年ぶりの優勝を果たし、シングルスでも世界ランクを一桁に上げるなど、飛躍を遂げました。
　
Ｑ.活躍を振り返ってー
「その時は、1試合ごとに勝っていこうと思っていたが、すごいことをしちゃったんだなと思う」
　
Ｑ.急成長の要因はー
「去年の2月にプレースタイルを守りから攻めに変えた。最初は試合でも勝てずに
自分でも大丈夫かなと思ったが、結果が出てうれしい」
　
”守りから攻めへ”のきっかけは、2024年の全日本選手権で、パリオリンピック代表の平野美宇選手に敗れたことだと坂本コーチは指摘。「完封負けをしたのは、一番いいきっかけになった。オリンピックでメダルを取りたいなら今のスタイルなら無理。世界で勝つためには攻撃的に変えないと」と語ります。
　
男子の指導経験が豊富な坂本コーチのもと、大藤選手はフットワークを強化、卓球台から離れていても強打を放つパワーや技術を身に着けました。
　
大藤選手は「女子選手は、卓球台の近くで、前でプレーすることが多いので、周りの選手より動ける幅を大きくすると有利になれる。動く練習を多くやっている」と話します。さらに、「女子選手でも、自分のプレーを真似してる人も増えてきた。嬉しいのと、真似しないでよ！と思うこともある」と本音を語ってくれました。
　
大藤選手は、卓球のコーチを務める父の影響で3歳から競技を始め、大野市の有終南小学校2年生の時に全国大会で準優勝、小学6年生の時には、日本代表として世界ジュニアに出場しました。
　
その後は、卓球の強豪、大阪の四天王寺中学・高校に進学、女子シングルスでは全中優勝、インターハイでは2年連続で準優勝するなど、結果を残してきました。
　
大野の実家で父の弘雅さんに話を聞きました。
　
大藤選手の父・弘雅さん：
「とにかく運動神経が良かった。足は速かったし、負けず嫌い。卓球では”真似が上手”で、言ったことを体で示すと、真似して上達していた」
　
中学から親元を離れたことについては「さみしい部分はあったが、強くなってほしいし、上を目指してほしいと思った。夜中泣いていた、とかよく聞きます。自分で覚悟を持って行ったので、親には言わず頑張ろうという気持ちが、いまにつながっている」と話します。
　　
大藤選手に、小学6年生時代の映像を見てもらいました。アジアジュニア選手権の出場に向け、大野市を表敬訪問した際の映像を見て「恥ずかしい」と大藤選手ははにかみました。
　
幼少期は憧れの存在だった平野美宇選手が、いまはライバル。大藤選手は「この時は憧れの存在。いまはそこに勝っていかないとオリンピックが見えてこない。成長を感じる」と次を見据えています。
　　
ふるさと福井への思いも聞きました。
　
大藤選手：
「テレビとかで活躍を見て連絡をくれる小学校時代の友達もいて、すごくうれしい。帰りたいなと思う」
　
Ｑ.好きな福井の食べ物はー
「秋吉が好き。帰ったら絶対食べます。串カツは100本食べられます」
　　
Ｑ.県民へメッセージをー
「今回の活躍で知ってくれた人も多くいると思うので、これからもっと知ってもらって応援してもらえると自分のパワーにもつながるので、応援してほしい」
　
大藤選手の人柄について坂本コーチは「素直な人間性。向上心の強さ、負けず嫌い。この3つが特徴。ここまで強くなると素直さが難しかったりするが、コーチの意見も受け入れるし、よく話を聞く。素直さ、向上心、負けず嫌いが急成長の要因」と分析します。
　
女子ダブルスでは世界ランク1位。中学からの同級生で、高校からダブルスを組む横井咲桜選手は「プレーを見ているとかっこいいが、抜けている。ちょっとのミスでうわ！となってかわいい」と笑顔を見せます。
　　
全日本選手権では、順調に勝ち進めば、26日の準々決勝で日本代表のエース・早田ひな選手と対戦する可能性が高くなっていて、活躍に期待です。