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人気再燃のレコード5600枚を持ちよりカフェオープン「懐かしいあの日々」を語る場に 独自の検索システムも【福井】
近年、再び人気が高まっているレコード。日本レコード協会によると、2023年のレコード生産量は約270万枚で3年前の2.5倍に増え、金額は34年ぶりに60億円を超えました。こうした中、坂井市内のコミュニティセンターには、昭和時代の往年の名曲をレコードで自由に聴ける場所ができ、地元の人たちの思いが詰まった、憩いの場となています。
春江東コミュニティセンターにある「ひだまりカフェ」に、レコードならではのやわらかな音で奏でる懐かしいメロディーが流れます。往年の名曲が青春時代のあの頃をよみがえらせます。
このカフェは春江東部地区まちづくり協議会が地域住民の憩いの場にと開設しました。5年ほど前、協議会の会員らが家にあったレコードを寄贈したことをきっかけに、協議会が広報誌などを通じて地元の人に募集したところ、大量のレコードが集まりました。
この場所を管理をするのは協議会の役員で、施設のセンター長も務める渡邉雅彦さんです。渡邉さんは「家にはレコードを聞く機械がないが、思い入れがあってレコード自体は捨てられない。ここで収集しているということを聞いて、それならと寄贈してもらった」と話します。
集まったのは5600枚。1960年代から1980年代を中心に、中森明菜や吉田拓郎、ビートルズなど昭和の歌謡曲から洋楽、クラシックまで幅広い歌手やジャンルのレコードが並びます。
渡邉さんは、4年前から集まったレコードの整理を始め、ほこりが被っていたり汚れたりしているレコードを1枚1枚洗浄して、新しい包装紙に入れて保管しているといいます。
その後、お目当てのレコードを探しやすくするため、パソコンの検索システムを独自に開発し、歌手名やジャンルで検索できるようにしました。
渡邉さんは、雑音もデジタルにはない楽しみのひとつだとし、「デジタルほどクリアではないけど、それがまた柔らかみがあってものすごい良い音で、さらにジャケットを見るとその当時の思い出がよみがえる」とレコードの魅力を語ります。
一番最初にレコードを寄贈したのは、まちづくり協議会の山内眞一会長です。捨てられずに、ずっと押し入れにしまっていたレコード80枚を持ってきました。「当時は、LP盤で2500円くらい。レコード店に行ってこのレコードを買おうか買うまいか…一生懸命悩んで買った覚えがある」と話します。
集められた5600枚分のレコードには、持ち主たちそれぞれの思い出が詰まっています。
ちなみに、渡邉さんが選ぶ心に残る一枚は…「大滝詠一のロング・バケイションに入っている『恋するカレン』。失恋した男の歌なんですけど、当時失恋したことを鮮明に思い出すような曲」
久しぶりに聞いた渡邉さんは「鮮明に思い出しました」と笑います。「良い思い出も悪い思い出も、ここで過去を思い出して懐かしんでもらいたい」
山内会長も「私の年代の人は大変楽しんでもらえるんじゃないか。レコードを聴きながら、いろんな話をするのがいいんじゃないかな」と話します。
色褪せることのない青春時代を昭和のレコードにのせて、懐かしいあの日々を語り合える場となりそうです。
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