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野生の“かみつきイルカ”出現から4年目の夏 県がイルカの位置をリアルタイムで把握するシステム開発に着手 市町の対策費にも半額補助へ 【福井】

2025.02.18 18:45

福井県内で3年前から、野生のイルカが海水浴客にかみつきけがを負わせる被害が相次いでいることを受け、県は2025年、イルカに発信器を取りつけリアルタイムで位置情報を把握できるシステムの開発や、イルカが好まない超音波装置の購入などの対策費用を、市や町に対し半額補助する方針です。

18日に県庁で開かれたイルカの被害対策会議には、警察や沿岸自治体、観光協会などから50人が出席しました。県農林水産部の稲葉明人部長は「今年の海水浴シーズンに向け、一体となってイルカ被害の防止、対策を講じていく」としました。

会議は冒頭のあいさつ以外は非公開で行われ、これまでのイルカによる被害状況や、2025年の海水浴シーズンに向けた対策などについて話し合ったということです。

イルカはこの3年間で、嶺北、嶺南の海岸で相次いで目撃されました。各地の海水浴場では、野生のイルカが海岸近くに突然現れ、海水浴客にかみつく事件が頻発。海水浴場は「イルカが出没しています。イルカに近付かないように」とアナウンスするなど対応に追われました。

イルカの専門家である県対策検討委員会の森阪匡通委員長は「イルカは人に会ったら絶対寄ってくることはない。基本的には人間を避ける。今回は、人に慣れる経験をしてしまった結果」と話します。

県によると、3年間で野生イルカの被害にあった海水浴客は、中京・関西圏を中心に53人で、場所ごとの人数は福井市で21人、敦賀市で10人、美浜町で22人です。

県は2025年度当初予算案に「イルカ被害対策事業」として約2840万円を盛り込みました。杉本知事は「県民がかまれるだけではなく、観光事業にも県外の人にも影響がある。福井に二度と来たくないと思ってほしくないので、県としては広域の移動を事前に察知できるようなシステムを考えたい」と話しています。

先シーズンまでに出没した“かみつきイルカ”は、専門家などの見解では「ミナミハンドウイルカ」とみられていて、県はこの一頭のみが県内の沿岸での被害を及ぼしていると考えています。

ミナミハンドウイルカは国の法律で、捕獲や施設への収容はできません。ただ、国の許可があれば、一度捕まえて生態を調べるために位置情報が分かるGPSなどを装着して放すなど、試験研究目的の一時捕獲はできます。

そこで県は、海水浴シーズンまでにイルカに発信器の取り付けを試み、位置情報をスマートフォンなどの地図上に表示させ、自治体や地元の観光協会が注意喚起を促せるシステムを開発するとしています。

県対策検討委員会の森阪匡通委員長は「共存を考えると、いまできることはこれくらいしかない。世界的に見ても重要な例になると思う」と話します。

また県では、市町が監視員を雇って監視を強化したり、イルカが嫌う超音波発信装置を購入したりした場合、その費用の半額を補助します。

イルカ対策の強化は市町レベルでも行われています。敦賀市は初めてイルカ対策として約300万円の予算を計上し、海水浴場関係者の対策費用を補助する方針です。

県内沖に野生のイルカが現れてから4年目を迎える夏、対応策が功を奏するか注目されます。対策会議は6月にも行われ、県や市町のイルカ対策の進捗状況が報告されます。      

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