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【北陸新幹線開業1年】“駅前に何もない”ゼロからの開発進む「越前たけふ駅」周辺 二次交通も課題 15日にはハピライン駅とのシャトルバス廃止に
北陸新幹線県内開業からまもなく1年。県内4つの新幹線駅のうち唯一、既存の在来線と離れて開業したのが越前たけふ駅です。「駅前に何もない」「武生や鯖江の中心部から遠すぎる」など開業前から懸念されていた点はどうなっているのか。また、越前市が進める越前たけふ駅前の計画の進捗状況はどうなっているのか。開業1年の越前たけふ駅周辺を取材しました。
新幹線の開業から1年が経ち、越前市を訪れる人の数は好調に推移しているようです。市によりますと、新幹線が県内開業した2024年3月から12月までの期間で、市内にある主要18カ所の観光施設の客数は182万5000人に上り、前年の同じ時期と比べると52万人増加しました。
施設別でみると、2024年の大河ドラマで取り上げられた紫式部関連の施設で特に顕著な伸びが見られ、越前たけふ駅前にある道の駅も好調でした。道の駅は北陸新幹線が県内開業する1年前から営業を始めた施設で、平日でも多くの買い物客らでにぎわっています。
道の駅越前たけふの谷口敏和駅長は「体感では3割ぐらい増えている。新幹線と車利用で分かれるが、新幹線では関東はもちろん信州、石川、富山などの北陸の客も多く見られるようになった。想定とは違いビジネス利用の人が多く見られる」と話します。
越前たけふ駅周辺でも開業効果は波及しているようですが、不便なこともあります。
小林直史記者:
「越前たけふ駅が抱えている課題、それは駅からの二次交通で」
駅の利用者は―
「(出張で)東京から。この駅を使うのは初めて。タクシーで取引先に行きます」
「大阪から、出張で月1回ぐらい(来る)。レンタカーを借りるかタクシーですかね」
「東京から。今から客と打合せがあるので、うちの社員とレンタカーで一緒に行きます」
越前たけふ駅は、県内の他の新駅と違って在来線と駅が離れているため、開業当初から二次交通は大きな課題でした。越前市は観光客の利便性を確保しようと2024年3月から越前たけふ駅-ハピラインふくい武生駅間をつなぐシャトルバスを運行。しかし2025年に入り需要が激減したため、3月15日をもってこのシャトルバスの取り止めを決めました。
シャトルバスの利用客は「越前市で仕事をする時は使っています。タクシーしか交通手段がなかったのでシャトルバスはとても助かりました。(越前たけふ駅は)アクセスだったりとか、他の所に行くには不便さは感じる。タクシーの数も多くないので」とやはり不便さを口にします。
シャトルバスが廃止となる16日以降は、定期的にこの駅を発着する公共交通機関は1つもない状態に。市の担当者は「駅と駅をつなぐ需要が想定していたほどでなく、今後はそれぞれの駅を基点としてニーズにあった二次交通を考えたい」としています。ただ現時点で代替案はなく、まだまだ模索中のようです。
そして―
小林直史記者:
「越前たけふ駅が抱えるもう一つの課題。それは駅前に何もないというこの立地です」
越前市や鯖江市の中心部から離れている越前たけふ駅の周辺には、広大な農地が広がっています。しかし、この未開発エリアに新たな動きが―
越前市産業政策課・松井成晃課長:
「ここはホテルや未来創造基地の建設予定地です」
越前市は今、土地柄を生かした新たな施設を計画しています。その名も「越前たけふ未来創造基地」。道の駅の西側にドーミーインホテルなどを展開する共立メンテナスと連携し、新たな交流拠点を整備する計画を進めています。
松井課長は「県内4つの駅の中でも在来線に並行しない新駅なので、ほんとにゼロからの開発。新幹線や北陸自動車道の武生インター、国道8号が近接する交通結節点なので、より多くの人や企業が集まり交流できるような施設を整備したい」としています。
約2ヘクタールの敷地内に、共立メンテナンスがホテルや中期滞在向けの宿泊施設のほか、温浴、飲食施設などを整備。さらに越前たけふ未来創造基地は、施設のフロアを市が借りて民間委託などで運営していく予定です。
松井課長は「越前市は伝統産業から先端産業まで幅広い産業、ものづくりのまち。そういった産業面での情報発信や市民の活動、例えば作品の発表や農業に関する情報なども発信できればと思っている」と話します。
具体的な施設の中身については今後検討を重ね、2027年春以降の開業を目指しています。駅周辺には現在、福井村田製作所の新たな研究開発センターの建設が進んでいて2026年4月の開業を予定しているほか、100台分のパークアンドライド用の無料駐車場の増設も計画されています。
駅からの二次交通には課題はあるものの、何もない駅前の開発にゼロから取り組む越前市。果たして「越前たけふ駅」周辺の未来はどんな姿になるのでしょうか。
<越前たけふ駅前の開発計画>
▼2025年内に駐車場100台分を増設
※段階的に秋の行楽シーズンまでに80台分、その後年内に20台分を整備
▼2026年春頃、福井村田製作所の研究開発センターを開業(5階建て、従業員数は将来的に800人を予定)
▼2027年春以降、ホテルや越前たけふ未来創造基地開業
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