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使用済み核燃料の県外搬出「新ロードマップ」を福井県知事が容認 関電の40年超原発は運転継続可能に 立地振興の資金拠出へ新たな枠組みも検討
福井県内の原発にたまり続ける使用済み核燃料の県外搬出の工程を示した、関西電力の新しいロードマップをめぐり杉本知事は24日、関西電力の森望社長、武藤容治経済産業相と相次いで面談し、このロードマップを容認する意向を伝えました。知事が使用済み核燃料の県外への搬出計画を認めたことで、県内にある40年を超える原発の運転停止はひとまず回避されることになりました。
使用済み核燃料の県外搬出をめぐっては、青森県六ケ所村にある燃料の再処理工場の完成が延期されたことを受け、関西電力は2月に内容を見直した新しい工程表(ロードマップ)を県に提示しました。
新しいロードマップでは、再処理工場の完成時期に合わせて六ケ所村への搬出時期を当初より2年遅らせて2028年度とし、全体の搬出量も増やすなどしています。
関西電力や国に計画の実効性を強く求めてきた杉本知事は、新たなロードマップ提示後、初めてトップ会談に臨み「(ロードマップについて)様々な議論が行われたので、その意見を伝えて森社長の考えを確認させていただきたい」と述べました。
関西電力の森社長は「新しいロードマップに従って使用済み燃料を確実に搬出し、将来的には貯蔵量を減少させることを実現するのが私の責務と考えている」とし、ロードマップの進み具合を定期的に県や県議会に説明することや、原発立地地域の振興のため資金を拠出する新たな枠組みをつくることを約束しました。
面談後、森社長は記者団を前に「発電所における貯蔵容量が管理容量を超えないことを定量的にお示しできたと思う。一定の理解を得たと感じている」と話しました。
杉本知事は武藤容治経済産業相ともオンラインで会談。武藤大臣は「国も事業者とともに前面に立って取り組むことを含め、国もロードマップの確実な実行に向け責任をもって取り組む」とは発言。これに対し杉本知事は「(関電、経産相)お二方の話や県議会、立地町の意見を踏まえ、見直したロードマップについて県として実効性があると判断する」と国や関電の決意に理解を示し、新たなロードマップを受け入れる考えを伝えました。
記者団の取材に杉本知事は「全体として(各所から)聞かせたもらった結果として今回の新しいロードマップについて実効性があると判断した。(六ケ所再処理工場)の審査対応は不確定な要素があるので、これからもしっかりと厳しく監視をさせていただく」としました。
使用済み核燃料の県外搬出をめぐっては、福井県にロードマップの中身が受け入れられなければ、関西電力は自ら「運転40年超の原発を停止する」としていました。24日に杉本知事がロードマップを容認したことで、運転停止の事態はひとまず回避されました。
しかし、ロードマップはあくまでも六ケ所村の再処理工場の完成が前提条件となっています。再処理工場の完成は過去に27回も延期されていることから、まずは工場が確実に完成し使用済み核燃料が工程通り搬出されるかどうか、県は厳しく監視する必要があります。
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