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石川県が求める「米原ルートの再検討」追記 福井県が決議案の調整急ぐ 12日に北陸新幹線建設促進大会
北陸新幹線の敦賀から新大阪までの延伸について、福井県の杉本知事が会長を務め沿線10都府県でつくる同盟会の大会が、12日に東京で開かれます。例年、この大会では建設に向けた国などへの要望書を決議しますが、大会の事務局を務め決議文の調整を進める福井県に対して、石川県が“米原ルートの再検討”を盛り込むよう提案していることが分かりました。福井県はこの提案に否定的な立場で、週明けの大会に向けてギリギリの調整が続いています。
北陸新幹線の敦賀から新大阪までの早期整備を目指し、年に1回、国の次年度予算の概算要求を前に開かれる北陸新幹線建設促進同盟会の大会。今年は沿線10都府県のトップや国会議員、市、町長、経済界の代表など約250人が参加する予定です。
現在、建設促進同盟会の会長を務める杉本知事は、大会で示される決議文について「これまで通りの着工5条件と、一日も早い小浜・京都ルートでの早期全線開業になる。科学的な見地から(沿線の住民への)丁寧な説明や、安定的な財源の確保、費用対効果の議論を進めてほしいといった内容を加えて決議案を調整している」としています。
県によりますと、福井県が作成する決議文は例年通り小浜・京都ルートでの一日も早い全線開業を求めるものです。ただ、石川県側は米原ルートの再検討を求める内容の文言を追記するよう福井県に提案していることが分かりました。
石川県内では敦賀から新大阪までの工期が短いなどの理由で“米原ルートの再検討”を求める声が強まっていて、馳浩知事も理解を示す姿勢を見せ始めています。馳知事は取材に対し「(石川)県民の率直な意見を盛り込んでもらえるよう根回ししている。希望が受け入れられない場合は、私が大会に出席する意味がない。具体的なやり方は控えるが、県民の意思を伝える」としています。
一方、福井県はこうした石川県の対応について「ほかの自治体からも様々な要望を受けている」と冷静に受け止め「あくまでも決議文では小浜・京都ルートの早期整備を求める内容で準備している」としています。
果たして石川県側は納得するのか。このまま足並みがそろわなければ12日の大会での波乱も懸念されます。
そもそも、北陸新幹線の敦賀から新大阪までの延伸を巡っては、2016年に自民・公明の与党プロジェクトチームが「小浜・京都ルート」で決定しています。当時の国交省の試算では▼小浜ルートの事業費は約2兆700億円、工期は15年、敦賀-新大阪の所要時間は43分▼米原ルートの事業費は約5900億円、工期は10年、敦賀-新大阪の所要時間は1時間7分(乗り換えあり)でした。
すでに決定したルートに対し、石川県が米原ルートの再検討を求める理由の一つに、米原ルートのほうが「工期が短く早く整備できる」との主張がありますが、3月に国が京都府内で開いた説明会では、環境影響評価や沿線自治体の同意を得るだけでも4~5年かかるとしていて、必ずしも米原ルートが早いとは言えないと説明していまた。
今回の決議文について石川県の担当者は「詳細は答えられないが、石川県の思いは事務局の福井に伝えている」としています。これに対し福井県の担当者は「他の自治体からの意見も踏まえて文言を調整している。大会までに同盟会の総意として取りまとめている」としています。
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