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敦賀以西ルート問題“再燃”の舞台裏 認可着工へ最大のハードル“地元自治体の同意”へ 求められる国の責任と地元の熱意
東京都内で12日、沿線10都府県が集まって北陸新幹線の建設促進大会が開かれ、国や政府に「小浜・京都ルート大阪までの早期全線開業」を求める決議を取りまとめました。満場一致とはなりましたが、石川県が「米原ルート再検討の必要性」を表明する波乱の展開があり、沿線の足並みの乱れも指摘される中、敦賀以西の認可・着工に向けた今後を展望します。
石川県・馳浩知事:
「万が一、大きな前提が崩れた場合には、10年前に議論があった米原ルートも検討してほしい」
「小浜・京都ルート」を前提としてきた12日の北陸新幹線建設促進大会で、「米原ルートの再検討の必要性」を表明した石川県の馳知事。「京都府内の課題解決が困難な場合」という条件付きとはいえ、会場に緊張が走りました。
石川県は大会前から「米原ルートの再検討」を決議文に記載するよう求めていて、どのような決議文が示されるか注目されていました。
結果、決議文には例年通り「小浜・京都ルートでの早期全線開業を求めること」のみが記され「米原ルート」の記載はされませんでした
ただ、石川県の要望を反映した点もー
石川県・馳浩知事:
「今回、石川県の提案によって同盟会の決議に3つの文言が盛り込まれた。(その一つが)京都などが示した諸課題を早期に解決すること」
今回の決議文には、京都府などが示した課題解決に向けて、国が体制の強化や住民に対する情報発信、丁寧な説明など最善を尽くすよう求める内容が初めて盛り込まれました。これについて福井県の杉本達治知事は「京都を中心として様々な課題がある。沿線の住民の皆さんの理解を得るという言葉を入れること自体は、非常に重要だという認識で入れた」としました。
石川県・馳浩知事:
「都市部に工事に向かっていくので、当然乗り越えるべき、解決すべき課題も多くなっている。しかし説明を続けていけば必ずや、今賛成じゃない方々も理解してもらえると考えている」
これまで3年連続で見送りとなっている敦賀ー新大阪間の認可・着工。前提となる「着工5条件」のひとつ「地元自治体の同意」が得られなければ、この先も認可着工は見送られることになり、北陸新幹線が大阪に向け伸びることはありません。
同盟会は、京都の課題解決を小浜・京都ルートの認可・着工に向けての最大のハードルだと位置付け、改めて国や関係機関に全力で取り組むよう求めた形です。
大会では「小浜・京都ルートでの早期全線開業」を求める決議が満場一致で採択されました。一方で、京都府の西脇知事、大阪府の吉村知事は大会に参加せず、沿線の総意が完全にまとまったとは言い切れない側面もあります。
福井県・杉本達治知事:
「このまま敦賀で止めるのか、ということを国会議員にも問いかけた。これからも同盟会が一致団結しながら、大阪につなぐことを第一に考えながら進めていきたい」
石川県・馳浩知事:
「京都の課題をしっかりと解決しなければ令和8年度も見送りとなる可能性はなきにしもあらずだと思う。国策として進めている以上は、政府として、西脇京都府知事が示した7つの課題をどのように解決していくのか。より具体的に、また科学的に示してほしい。そして京都府民、京都市民のご理解を得てほしい。私はそのことに尽きると思っている」
認可・着工が見通せないことも背景にルート問題が再燃し“火消し”に追われた今回の大会。他方で最大のハードルは地下水問題などを課題に挙げる「京都の理解」だと確認できた大会でもありました。
ルート問題に端を発した沿線の足並みの乱れは認可・着工を見送り続ける国への不信感や現状への焦りが背景にあります。国は京都が示す課題解決に全力で取り組み、住民の理解を得るのか。今がまさに国家プロジェクトを主導する国が、責任を果たすときです。さらに、プロジェクトを主導する国を動かすだけの熱意を沿線側から届ける取り組みも求められています。
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