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敦賀駅周辺で空き店舗ツアー “先輩出店者”との意見交換も 2年前から年2回の継続実施で新幹線“開業効果”継続へ
北陸新幹線が敦賀まで延伸開業してから1年余りが経ちました。日本観光振興会によると、2024年3月から2025年2月の期間に敦賀市を訪れた観光客数は、前年の同期間と比べて約1.3倍に増えています。こうした中、敦賀市の中心部では新しい店舗が増えてはいるものの、依然として空き店舗も目立ちます。商店街で出店を希望する人にイメージを膨らませてもらおうと、先日行われた空き店舗の見学ツアーに密着取材しました。
5月末の土曜日。敦賀市内のまちづくりを担う第3セクター「港都(みなと)つるが観光協会」が、商店街での出店意欲を高めてもらおうと空きテナントをめぐるツアーを開きました。
敦賀市の中心部には大きく分けて5つの商店街があります。このうち、この日は神楽町と本町の商店街の空き店舗の紹介が行われ、市内外から5人が参加しました。
Q.どんな物件を探している―
「サロン系です。県外に出ていたが戻ってきて、自分で(商売を)するなら地元でと。飲食ないし食品加工」
Q.どうしてこの商店街で―
「街づくりのこともあるし、補助金も優遇されているので」
敦賀市では北陸新幹線が開業する前の2022年度から「敦賀まちづくり魅力UP応援」と銘打った補助金制度がスタートしました。この補助金は、市と県が導入したもので、誘客につながる市内全域の店舗改修や新築が対象です。
商店街などの特定エリアでは限度額300万円、大型物件ではなんと2000万円まで補助金が支給されます。採択数はこれまでで68件、その多くは中心部です。
この日、ツアーには物件を管理する不動産会社も同行し「後ろの道路から荷物の搬入がしやすくなっている」などと、それぞれの物件の魅力や立地、設備などを具体的に説明しました。
このほか、既に出店している事業者の話を聞いて出店へのイメージを膨らませる取り組みも行われました。
参加者が「思いは形になっていますか?」と尋ねると先輩出店者が「主人の育てた魚を食べてもらえる場所ができた。これが一番の目標だった」と答える場面も。
この日は全部で6つの物件を見学しました。観光協会では2年前から物件見学ツアーを年2回の頻度で開催していて、これまで約40人が参加。交渉が進んでいるところもあわせると、9件のマッチングに成功していると言います。
こうした取り組みや補助金などの後押しもあり、近年新しいお店は増え続けています。しかし、いまだにシャッターが閉じられた店舗跡も目立ちます。
港都つるが観光協会の調査によると、2025年3月時点で全ての商店街における建物344軒中、営業店舗は218軒で、賃貸可能な物件は14軒に留まっています。
全体の3割以上が何らかの理由で賃貸ができない建物、もしくは元店舗だった住宅などです。外から見て空き店舗でも、賃貸可能な物件とは限らないということです。
港都つるが観光協会の若杉実常務は「まだ住んでいる方がいて、なかなかそのシャッターが開けれないところや、所有者との話し合いが難航しているところもある。これからは地元の商店街と連携し、なるべく開店できるように協力したい」と話します。
観光協会は出店希望者への単なる物件の紹介だけではなく、まずはその所有者などに働きかけて貸し出し可能な店舗を増やし、そして商店街を知ってもらうといった地道な取り組みを続けています。
ツアー参加者は―
「いろんな形の物件が見られて参考になった。いろんな業種の人と話せたのもよかった」
「補助金などに関わっている人と接する事があまりないので、貴重な機会だった。通りはすごく気になっていたので、その周辺の物件を見れて良かった」
港都つるが観光協会の担当者によると、今まで動かなかった物件も、補助金や近くの物件が開店し始めたことがきっかけで「自分の物件も…」 というオーナーが出てきていると言います。現時点で把握しているだけでも、商店街でオープン予定のお店は飲食店を中心に4店舗。出店希望者には、ツアーだけでなく、個別での案内も対応しているということです。
北陸新幹線県内開業2年目。開業して終わりではなく、その開業効果を持続させるために、こうした足元からの取り組みの継続が求められています。
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