はじめに
あなたは橋本左内を知っていますか？ 15歳で「啓発録」を著した天才だということ。安政の大獄で幕府にとらえられ斬首された悲運の志士だったということ。しかし、それだけで橋本左内を知ったとは言えません。西郷隆盛や坂本龍馬に大きな影響を与え、混乱の幕末期にその先の日本の進むべき未来を指し示した稀有なる存在だったのです。
彼の存在自体が「日本の奇跡」と称する歴史家もいるほどです。藩主や同志とともに日本の民主主義の源流を生み出した男が橋本左内でした。 残念ながら日本では、その功績が十分に知られているとは言えません。左内を通してもう一度幕末維新を見直すことこそ、維新から150年を経た現代人に課せられた使命、とりわけ福井県民の使命だと考えます。
内容
福井市出身の俳優、津田寛治が橋本左内の生涯をたどり、当代一流の歴史研究家や、左内をこよなく愛する歴史愛好家に話を聞きながら、左内の先見的な思想を解き明かします。今売り出し中の人気落語家、桂雀太が、左内の幼少時代のエピソードや西郷隆盛と協力して政治の舞台で大活躍したことを落語で紹介。鯖江市出身の漫画家、高島正嗣がイメージ墨絵でそのシーンを表現します。 また、福井市在住の作家宮下奈都が左内の漢詩を読み解き、左内の心情に迫ります。
【監修】 加来耕三氏（作家、歴史研究家）
