見廻り奉行の性格からか、彼は畑仕事のおばば殿に声をかけることが多いのだが、たまには観光バス会社などを見廻りして、若いピチピチしたガイドさんから思いもよらぬ情報を入手することがある。この日は、越前海岸随一の観光地「呼鳥門」付近のドライブインに、用を足しても落ち着かない(秘)トイレがあるとガイドさんが教えてくれた。お美しい彼女らもお仕事でお客様をお連れした際はここで用をお足しになるのだが、誰かに見られているのではと勘違いするほどらしい。私もイッペンシテミタイ!

噂のトイレは広かった
三大演歌歌手の競演?
噂の真実を探るべく奉行は見回ってみた。便器に腰かけてみると、やはり落ち着かない。まず、だだっ広い!そればかりか、大胆にも日本庭園風に飛び石や松が植えてあったりして上品すぎる。ここを汚すような行為は武家諸法度でも禁止されているかもしれない。主人を見つけてその設置の動機を尋ねてみた。主人は普通の中年男性だった。が、そのには観光地に生き残りを賭けるひとりの男の経営哲学があった。ご主人はこう語った。「大勢の観光客が呼鳥門を訪れても、私のドライブインに立ち寄らなければ一文にもならない!
奇抜なアイデアで客を呼ぶに如くはなし!」彼はこの他にも、駐車場正面に川中美幸や伍代夏子ら越前海岸にちなんだ演歌歌手の石碑三体を人工の滝の中に置き、その石碑の前に人が立つと流水が泊まり三大歌手が語りかけるいう苦心のオブジェまであった。最近ここを何度も訪れるリピーターが増えているということだった。(平成8年4月15日放送/ロケ地/丹生郡越前町/レスト有情)

観光地に生きるアイデアマン