暑い夏を少しでも涼しくと人類はいろんな物を生み出してきた。究極はエアコン。もはや一部屋一台の時代。しかし、最近エアコンは冷えすぎてイヤダ!という人も多い。自然な涼しさを好む。そんな奉行が武生から越前海岸へ向かう旧街道で発見したのが油トン!自然な涼しさを呼ぶ究極のカーペットである。

年季の入ったユトン(油団)
たった2人のユトン職人
素材は和紙。大きな越前和紙を何枚も何枚も重ねて分厚くしてある。言葉で言ってしまえば簡単だが、実際に作るとなるとモー大変!表具を作る要領で紙にのりをつけ、ハケで叩いて固めていく。乾かしてまた同じ工程を繰り返す。一カ月に一人で三枚か四枚が限度。仕上がるころにはうっすらとレモン色を呈してくる。
最後の仕上げはつや出し。ここではオカラを使う。オカラを乾いたきれいなタオルで丹念に刷り込んでいく。すると見る見る光沢がでてくる。油トンはどういうメカニズムからか表面が熱を奪い上に座る人を涼しくするという。十年も二十年もするとレモン色が渋い茶色に変わる。全国で油トンを製造しているのはここだけ。注文しても一年は待たねばならない。和紙産地越前ならではの夏の逸品である。「すべりが良くてノミも滑ります!」ご主人の言葉通り奉行も見事にすべってしまった!(平成8年9月2日放送/ロケ地/鯖江市)

奉行もすべる伝統のスグレモノ