真夏の夜を彩る打ち上げ花火。鯖江市下野田町で花火の電柱広告を手がかりに私は一人の花火師と出会った。橋本敏夫さんは三代目。この日は打ち上げ花火の仕掛けを作っていた。直径二十センチ、長さが八十センチほどの筒に火薬をつめて、花火の玉をいれ、また火薬をつめる。ふたの代わりに導火線つきの紙を被せていく。そんな筒が二十本ほどでワンセット。導火線一ヵ所に点火すると、フタの上部から筒底の火薬に火種がポトリと落ちる。火薬の爆発で花火玉は空中へ…。打ち上げ花火のメカニズムの素晴らしさはこれだけでない。花火の玉自体にも導火線が仕込まれており、上昇する間にジワジワ火が玉の中央に侵入するように出来ている。そして玉が最高地点に達したとき、爆発して美しい大輪を描くようになっている。
玉は固いダンボールのような素材でできており。球体の内部はパチンコ玉様の小さな火薬の固まりがギッシリ詰まっている。その一個一個が赤色であったり、青色であったり、決まっており、職人は苦心してその詰め方を工夫する。この小さな丸のことを「星」という。

花火の星・ここに色形の秘密が・・・
「おじいちゃんは命がけで黒打った花火をひろうてきたでのぉ」と初代のことを話すおばあちゃん。不発で玉が落下することを専門的には「黒を打つ」という。初代は技を盗もうと勇猛果敢に不発弾を拾いにいったのだ。(平成8年9月9日放送/ロケ地/鯖江市)

緊張の打ち上げの瞬間
見事ナリ!大輪!!