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「ボロボロのオフィスに誰が行くのか」人材確保へ企業で広がるオフィスリニューアルの動き 石川の老舗企業が福井進出
人手不足が叫ばれる中、オフィスのリニューアルで人材の確保を目指す動きがあります。石川県で家具販売などを手掛ける老舗企業は去年、そのニーズをとらえ福井県内に進出しました。

福井市内の、とあるオフィス。石川県で家具販売やオフィスデザインを手掛ける山岸製作所が県内での拠点として作った“最先端のオフィス”です。
別の会社も同居する共同オフィスになっていて、社員の席が固定されていないフリーアドレスの空間に、高さを自由に変えられる電動昇降のデスクが並びます。
山岸製作所はこれまで石川県内で、オフィスや社員食堂のリニューアルを行ってきました。近年は、受注が増え続けているといいます。

注目を浴びる背景には、人手不足に対する企業の危機感が表れていると語るのは、山岸晋作社長です。
「若い人がそもそも少ないので、高等教育機関である大学は学生の奪い合いになっている。その施策として大学はどこも綺麗で、そこを卒業した学生たちは“ボロボロのオフィスに誰が行くか”ということ」
いまや人材確保の切り札の一つが、オフィスのリニューアルだというのです。

福井県内でも人手不足は深刻な課題となっています。1人の求職者に対して何件の求人があるかを示す有効求人倍率は7年9カ月全国トップです。
山岸社長は「社員たちがどこでどういう風にコミュニケーションを取っているのかを見せるためのオフィスデザインをすることで採用力の向上につながる可能性がある」とします。

若者が魅力を感じる職場環境を地方でも実現したい―そんな思いを持った山岸製作所の県内進出の決め手は、北陸新幹線の開業でした。
「北陸を一つのエリアとして見ると、石川とか福井とか言ってる場合ではなく、福井の若い人が福井に残り、福井で頑張っていく。そういう人が1人でも2人でも増えると絶対に地域は良くなるので、それを目指してオフィス作りをやっていきたい。そのきっかけが新幹線」(山岸社長)
県内でのリニューアル第一号は前田工繊です。社員食堂を改装し、打ち合わせスペースとしても使えるようにしました。
職場を活性化させ、新たな発想を呼び起こしたいと前田工繊の前田征利会長はその狙いを話します。 「うちはモノを作るメーカーなので新しい発想の商品開発ができたら最高。それで売り上げが上がり、また美味しいものが食べられる、と」

一方、コストの削減を重視して職場環境の整備を後回しにしてしまう企業も多い中、山岸社長は、オフィスリニューアルは未来への投資だと強調します。
「コストだと思わないこと。未来に対する投資を経営者が、どう考えるかどうか。地域のために、福井がどうしたら元気になるか、という貢献の先に利益やフィードバックがあると思う」
リニューアルを行った会社の経営者からは次のような声が上がっています。
▼採用に大きな効果があった。オフィスを見学してもらうと、学生の目がキラキラしていて、表情と反応が明らかに変わった
▼来店組数が1日あたり約10倍に増えた
▼世代を超えたコミュニケーションが増え、 オフィス全体がオープンな雰囲気になった
人手不足の解消へ、オフィスが果たす役割とは。そして、オフィスの未来はどう変わっていくのか。経営者だけではなく働く人全員が考えていく課題です。
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