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「生きたくても生きられなかった子供たちを思い出して」池田中学校で“命の大切さ”を学ぶ教室【福井】

2025.03.05 18:45

生徒に命の大切さを学んでもらおうと、池田町で4日、交通事故で息子を亡くした被害者遺族の講演が行われました。
     
池田中学校では8年前の3月、当時中学2年生の男子生徒が教員からの厳しい叱責による精神的ストレスで、校舎から飛び降り自らの命を絶つという事案が発生しました。
 
それ以降、学校では再発防止に向けた取り組みとして、毎年この時期に命の大切さを伝える集会を開いていて、教員と生徒が一緒に学び、考える機会を設けています。
 
2024年度の集会には、22年前、当時12歳の長男を交通事故で亡くした宮地美貴子さんが招かれました。

宮地美貴子さん:
「学校の帰りにノートを買いに行くからお金をちょうだい、と私に言ってきました。私はたかひろに千円札を渡し弟の分も一緒に買ってくるようにと頼みました。たかひろはおつりはもらっておくからね、と嬉しそうに笑いながら元気に自転車に乗って出かけて行ったのです」
   
宮地さんは福井被害者支援センターの事務局長を務めていて、講演会などで自分の辛い体験を語り命の大切さを訴えています。
 
宮地さん:
「みなさんのこれからの人生はいろんなことがあると思います。悲しいこと、逃げ出したい、死んでしまいたいと思うことさえあるかもしれません。そんな時が来たら、生きたくても生きられなかった子供たちがいることを思い出してください。そしてその子たちの思いをつなげていってください」
 
突然奪われた日常。もう二度と悲しい事故が繰り返されることのないよう語る宮地さんの体験談に、生徒たちはじっと耳を傾けていました。
 
講演を聞いた中学生:
「明日はやってくると思っていても、自分や大切な人がいなくなり自分の想像とは違う方向に行くことを、実体験を聞いて実感した」
「自分の命ではなく、みんなの命だと実感した」
「孤独になると私は一人だと思うことがあるが、実際は色んな人が思ってくれているのでそのことを忘れずに、辛いときは頼ることを大切にしたいと思った」
 
森岡裕一校長は「生徒が毎日元気に登校し、笑顔で楽しい学校生活を送り元気に家に帰る。これが一番大事。教職員にも勉強も大切だが、子どもたちの心の健康を一番にお願いしている」と話していました。
 
8年前に起きた生徒の自殺を教訓に池田中学校では、この集会のほかに生徒にSOSの出し方を指導したり、教員に対しては県が5年前から実施している「ポジティブ教育」を取り入れたりしています。
 
生徒の社会性や逆境に負けない心を育み、日常的な関りを大切にして問題が起きない環境作りに力を注いでいます。

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