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いかめしくも美しい聖獣「麒麟」が守る刃物博物館 職人たちの誇りを今に伝える刃物問屋の“もう一つの顔” 旧北国街道沿いでモノづくりの歴史に触れる「小旅」
福井県内の魅力を再発見する「小旅」のコーナーでは今回、越前市の中心部を走る旧北国街道沿いから、昔の面影を色濃く残す町屋に伝わる伝統工芸・越前打刃物にまつわる意外な歴史スポットをご紹介します。
かつて京や大坂と北陸を結んだ越前市の中心部を走る旧北国街道の一画に、越前打刃物のまち武生を代表する打刃物問屋があります。
明治5年の創業以来、この地で暖簾を守りつづける店には、伝統の歴史を伝える「キリン刃物博物館」としての顔もあります。
頭上に掲げられているのは、いかめしくもどこか美しい聖獣・キリンの看板。どこか見覚えのあるその姿…
誰もが知るビール会社の創業よりも歴史は古く、日本で商標制度が始まる明治17年以前からこの地で大切に掲げられてきました。
キリン刃物・飯田保孝会長:
「この麒麟は(兵庫県の)職人の刻印として明治期の前から使われていたものです。刻印には鶴や亀、猫などの中に、麒麟があった。麒麟の職人は腕が良いと評判になり続いてきたが、技術を伝えるのに適した者がいないということで、代わりに(信頼できる問屋として)受け継ぐことになった」
館内に一歩、足を踏み入れれば、そこは職人たちの記憶が息づく空間。
長年にわたり伊勢神宮の式年遷宮に際し特別な鎌を奉納していた証など、歴史の重みを感じさせる貴重な資料が並びます。
さらに奥へと進むと、扉の奥に温度と湿度が一定に保たれた蔵が。
ここでは時間をかけて金属の分子を安定させます。刃物ができて半年ぐらい置くと、強い刃物ができるということです。
さらに品質を追求する、職人たちの隠れたこだわりです。
そして、部屋でひときわ目を引くのが、壁一面を占める巨大な風景画です。今から70年以上前、地元の小学生が打刃物の製造風景を描いたものです。
つぶさに見ていくと、そこには今は姿を消した「ある景色」が店の前に残されていました。
飯田会長:
「店の前に、マツが植えてあります。刃物をつくる時、炭の力で火の温度を上げるのに松炭が一番適しているといわれ、この絵であれだけたくさんマツが並んでいるのは、マツが非常に貴重なものだったということがうかがえる」
一枚の風景画は、この地域が歩んできたモノづくりの記憶を今に伝えています。
ここでは、東南アジアを中心としていろいろな国の麒麟と思えるものを集めていて、全部で300点ほどがあります。
世界中から集められた数々の麒麟のコレクションとともに、この館はこれからも武生の歩みと職人たちの誇りを静かに見守り続けます。
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