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万葉屈指の女流歌人が詠んだ恋情…夫の流刑地に息づく2人の悲しい恋物語 その舞台、越前市味真野を訪ねる“小旅”

2026.03.05 19:15

福井県内の魅力を再発見する小旅のコーナーでは今回、越前市にある万葉集ゆかりの公園「万葉の里 味真野苑」を訪ね、万葉ロマンと恋の歌の世界を巡ります。

 

越前市味真野にある「万葉の里味真野苑」は万葉集にゆかりの深い公園です。苑内には60種類の植物があり、植物にちなんだ万葉の歌が32首が添えられています。
 
この地は奈良時代に流されてきた中臣宅守と都で宅守を思う妻・狭野弟上娘子の悲しい恋の歌の舞台として知られています。

 

「比翼の丘」と呼ばれる場所には、宅守と弟上娘子が交わした代表的な歌の石碑があります。
   
「塵泥の数にもあらぬ我故に思ひわぶらむ妹がかなしさ」(中臣宅守)
訳:塵や泥のような物の数でもない私ゆえに、落胆しているであろうあなたが愛おしくとならない。

 

そして向かい合うように建てられているのが弟上娘子の歌です。
   
「君が行く道の長手を繰り畳ね焼き滅ぼさむ天の火もがも」(弟上娘子)
訳:あなたの行く味真野までの長い道のりを手繰り寄せて畳んで焼き滅ぼしてくれるような天の火があったらよいのに。
  
宅守を思って詠んだこの歌は万葉集の中でも特に優れた贈答歌とされていて、弟上娘子は「万葉屈指の女流歌人」と評されています。

 

さらに、苑内にある資料館「万葉館」でも2人の歌を見ることができます。
   
万葉集に収められている二人の贈答歌は63首。そのうち宅守の歌が40首、弟上娘子の歌が23首。2人は別れを悲しみ、情熱的な歌を何度も贈り交わしました。
   
また万葉館には、現代の恋の歌も展示されています。
  
宅守と弟上娘子の歌にちなみ、約30年前から「あなたを想う恋の歌」 コンクールが毎年開かれていて、その年の入賞作品が並んでいます。現代ならではの表現で詠まれた31文字の恋物語です。
    
万葉集ゆかりの地で、歌碑や資料館を巡り、万葉ロマンの世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

 

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