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大雨災害は“梅雨明け直前”に多い 過去の被害からみる注意点を気象予報士が解説 【福井】
大雨による被害が発生することがある梅雨の時期。そこで村田光広気象予報士が、梅雨の時期に必要な注意点を解説します。

最新の3カ月予報によると、6月から8月の降水量は「平年並みか多い」と予想されていて大雨に警戒が必要です。
梅雨の時期は、福井県内でも過去に大きな被害が発生しています。
1989年(平成元年)7月、梅雨前線の活動が活発となり県内は大雨となりました。7月16日には越前町では国道305号で岩盤が崩壊。下敷きとなったマイクロバスの乗客が死亡する大惨事となりました。
2004年(平成16年)7月の福井豪雨では、福井市美山では降り始めからの雨量が285ミリとなり、河川の堤防が決壊するなど大きな被害が発生しました。
2006年(平成18年)7月豪雨では、7月15日から10日間にわたって雨が降り続き、勝山市では降り始めからの雨量が600ミリに。家屋の損壊やがけ崩れなど大きな被害が発生しました。
◆過去の大雨災害は“梅雨明け直前”

過去の経験を教訓に、梅雨の時期の気象情報を確認するうえでの注意点です。
過去に福井県内で発生した大雨による大きな災害は、7月中旬から下旬にかけて発生しています。これは“梅雨明け直前”です。
太平洋高気圧の勢力が強めるなか、梅雨前線が北陸地方に停滞しやすいのが7月中旬から下旬だからです。
◆梅雨の雨量は予想をはるかに上回ることが

雨の予測技術は年々向上しているものの、梅雨の時期の大雨は予想が難しく、積乱雲が予想以上に発達して災害級の大雨になることがあります。
例えば3年前、2022年8月の南越前町で発生した大雨です。この年は梅雨明けが特定できず、梅雨のような天気が8月まで続きました。この豪雨の前日の予想では、24時間の雨量が多い所で100ミリと予想されていたのですが、実際の雨量は予想を大きく上回り、南越前町今庄では200ミリ以上に達しました。
◆大雨は夜~朝にかけて多い

気象研究所の調べによりますと、2009年から2023年までに発生した線状降水帯を時間別に表してみると、夜から朝にかけての発生が多いことが分かっています。
夜から朝にかけて発生した割合は全体の75%、つまり集中豪雨は夜から朝にかけて多いということです。
過去の例でみると、2004年7月の福井豪雨は、午前5時頃から9時にかけて大雨となりました。3年前、2022年8月5日の南越前町の大雨は、午前3時頃から9時頃にかけてでした。
◆明るいうちに安全な場に避難を
大雨となる気象条件は複雑で様々な要因が重なりますが、理由のひとつとして、気温が下がる夜間、水蒸気の多い海の上で雨雲が発達すること、その雨雲が早朝に陸地に流れ込みやすいという傾向があるようです。
暗い時間の避難が難しいほか、危険な状況になっていることにも気づきにくいことから、逃げ遅れてしまう恐れがあります。大雨が予想される際には、「明るいうちに安全な場に避難すること」が重要です。
梅雨の時期は、いつも以上に気象情報をしっかりと把握しておくことで、より身の安全につなげることができます。
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