日本唯一の国立音楽高校に福井から2人合格の快挙　ピアノの森蒼志さんとヴァイオリンの土田和奏さん　“夢”のプロの音楽家へ｜ニュース｜福井テレビ

芸術界の東大とも呼ばれる「東京藝術大学」。その音楽学部には付属高校があります。日本で唯一の国立の音楽高校「東京藝術大学音楽部附属音楽高校」にこの春、福井市内の2人の中学生が狭き門を突破し合格しました。プロの音楽家を目指す2人の思いを聞きました。

やわらかいタッチでなめらかなメロディーを奏でるのは森蒼志さん（15）。この3月に福井大学教育学部の附属義務教育学校を卒業しました。

蒼志さんは、東京藝術大学音楽学部の附属音楽高校、通称「藝高」のピアノ専攻に見事合格し、春からは晴れて「藝高生」です。

蒼志さん：
「ピアニストの道を目指そうと思ったのが小学4年生あたりからだったと思うが、藝高が日本では1番レベルの高い音楽高校ということで、目指すことにした」

藝高は各学年1クラス40人の国内で唯一の国立音楽高校です。国語や数学など一般科目のほか、東京藝大と連携し、海外の音楽家による指導や実技、音楽理論の学習など
を行う、まさにプロの音楽家を育成するエリート高校です。

母親の弾くピアノの音色に興味をもったことをきっかけに、6歳の頃から福井市内の教室でピアノを習い始めました。

蒼志さん：
「練習していて弾けるのが楽しくてどんどん好きになった覚えがある」

中学1年生の頃からは、市内でのレッスンに加え、2カ月に1度は東京に通い、東京藝大の教員に指導を受けていました。

蒼志さん：
「ピアニストへの憧れが1番。僕はクラシックのコンサートを聞いてクラシックの素晴らしさに魅了されたので、同じようにいろんな人にクラシックの良さを伝えられたら」

蒼志さんがピアノを始めた頃から指導しているのは、市内のピアノ教室の講師、森智代さんです。

森智代さん：
「（ピアノを）始めて1カ月後に発表があるという状況の中で習いに来て、1週間で発表会の曲を暗譜できたという最初のエピソードがとても衝撃だった。例えばひとつ伝えたことで1週間後には10ぐらい返ってくる。小さい頃から新しいことを学ぶ姿勢が（音楽が）好きなんだろうな、向いてるなと思っていた」

藝高での新しい学びに、今から蒼志さんは胸を膨らませています。

一方、のびやかでダイナミックなヴァイオリンの音色を響かせるのは、同じく福井市内から「藝高」に進学する土田和奏さん（15）です。ヴァイオリン専攻に合格しました。

入学準備ですでに東京への引っ越しを済ませているため、リモートで取材に答えてくれました。

和奏さん：
「目指していた藝高に受かるとは信じられない気持ちとすごく嬉しい気持ちでいっぱいだった。（藝高は）ソロの勉強だけでなく、高い志をもった仲間たちとオーケストラやアンサンブルの授業もあり、そこにすごく魅力を感じた」

和奏さんは、テレビCMでみたヴァイオリンに惹かれ、4才の頃から福井市内のヴァイオリン教室に通い始めました。その後、金沢の教室や東京で東京藝大の教員からも指導を受け、入試前の追い込みでは1日9時間練習することもあったといいます。

和奏さん：
「ヴァイオリンを弾くのが大好きなのと、ヴァイオリニストになっていろんな人に自分の音色を聞いて幸せになってもらいたいという思いが強い」

実は、和奏さんも蒼志さんと一緒に附属義務教育学校を今年卒業した同級生です。クラスが違った2人ですが、2024年の文化祭で初めて共演しました。

和奏さん憧れの曲、チャイコフスキーの協奏曲を蒼志さんの伴奏のもと全校生徒の前で披露しました。専攻は異なりますが、互いに尊敬しあう音楽仲間。2人は春から同じクラスで学びます。

和奏さん：
「（蒼志さんの存在は）すごく心強くて学校の実技試験でピアノ科の人に伴奏をお願いするので、その時にお願いしたいなと考えている」

蒼志さん：
「（和奏さんの存在は）けっこう心強い、受験終わった後もこれから一緒に頑張ろうみたいなことは話した。レベルの高い人が周りにたくさんいるので良いところを吸収して演奏や音楽のレベルが高くなっていけたら」

それぞれの夢に向かって着実に歩み続ける2人の挑戦は、始まったばかりです。