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海外“憧れ”の日本産「真珠」 福井が誇るブランド「若狭パール」認知度アップと販路拡大へ 間宮真珠の挑戦【福井】
卒業式や春の入学式など、フォーマルな場で重宝されるアクセサリーといえば、真珠。実は最近、日本産真珠の人気や需要が世界的に高まり価格が高騰しています。こうした状況下で、さらなる販路拡大を目指すおおい町の真珠養殖場を取材しました。
艶やかで品のある存在感を放つ海の宝石・真珠。フォーマルな印象が強いですが、最近では様々なファッションに合わせてカジュアルに身に着ける人も増えています。
日本産の真珠を巡っては、その品質の高さから世界的に需要が高まり、最近は価格が高騰。輸出額はコロナ禍で減少した2020年以降に回復し、2022年は200億円、2023年は1989年以降最高となる589億円となっています。(水産庁調べ)
若狭湾の穏やかな入り江で40年以上前から真珠を養殖しているおおい町の間宮真珠は、県内で唯一、出荷から加工・販売までを手掛けています。三重県で育てたアコヤ貝で真珠を養殖し「若狭パール」のブランドで売り出しています。
間宮真珠でも、出荷した真珠の入札価格が2023年に一気に高騰。それまでの2倍から3倍になったといいます。森下優子店長は「入札会で出すと、福井の玉は優秀でいいと評価されている。日本の真珠は独特な艶、色が魅力的で海外の人にも憧れがある。量が少ないからより憧れるのではないか」と話します。
価格高騰の理由は、需要に対して供給が追い付いていない現状があります。国内では、真珠養殖や母貝となるアコヤ貝を養殖する業者が年々減少。県内でも地元の真珠養殖業者は間宮真珠を含め2軒しかありません。
森下店長は「かつて若狭でも20軒くらい、組合が成立するくらい盛んだったが、手に入る貝の事情や海の環境の変化などで激減した。高齢化事情もある」と話します。
気候変動の影響もあり生産量が不安定な中、間宮真珠では毎年10万個前後の真珠を生産しています。他の産地に比べると決して多くはないものの、今シーズンも若狭パールの強みである色つやの良い高品質の真珠が出来上がりました。入札でも一級品の高いレベルで取引され、バイヤーの評判も上々だということです。
店頭では、自慢の真珠を加工したジュエリーも販売。自社生産ならではの商品は市場と比べて価格の低さも魅力です。「いびつな形や様々な色目を活かした独自商品を開発している。良い真珠を手放すのは惜しいというのが先代の社長からの思いで、自社で作った良い玉を自分の手で売って手応えを感じたい。うちの持ち味は真珠自体の良さを引き上げて個性を生かせること」と話す森下店長。
間宮真珠では3月から、福井駅近くのハピリンモール内の県産品を扱うショップ「福人喜」で商品を販売することになりました。自社以外の店舗での販売は初めてで「若狭パール」の認知度アップや販路拡大を目指します。
森下店長は「商品の数は少ないが福井の人にも若狭パールを知ってもらえるし、新幹線で来た人の目に触れる。インバウンドには情報発信が追いついていないが、そこを広げていきたい。おおい町でとれる真珠は少ないがきれいなものが獲れる漁場なので、自信をもってやっていきたい」と話します。
若狭の海が育む「若狭パール」。福井が誇る真珠ブランドとして全国、海外への発信が期待されます。
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