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“異常な強風”と乾燥で山火事リスク高まる春 出火原因の6割は“人が原因” アウトドアは厳重注意【福井】
岩手県大船渡市の山林火災は発生から1週間が経ち、連日、消火活動が行われていますが、鎮火には至っていません。大船渡市は未明から雪や雨が降り、火の勢いがおさまることが期待されています。今回の<天気のギモン>のコーナーでは 「春の乾燥と火災のリスク」について考えます。村田光広気象予報士の解説です。
◆山林火災の背景には“異常な”強風

山林火災の背景には、強風と“異常”とまでいえる乾燥があります。
山林火災が広がった原因の一つは強風です。火災が発生した2月26日前後は冬型の気圧配置が続いたことで、日本海側は雪の降る日が続きましたが、太平洋側は山を越えた西寄りの風が強く吹き続けました。これが原因で、火は風にあおられ勢いを強めました。
◆大船渡の2月の降水量は平年の6%

山林火災が広がったもう一つの要因は、極端な乾燥です。冬型の気圧配置が続く冬は、大船渡では雨や雪がほとんど降りません。1月と2月の福井と大船渡の降水量の平年値を比較してみます。(※平年は過去30年の平均)
1月は福井が284ミリ、大船渡が167ミリで、2月は福井が167ミリ、大船渡が41ミリと、大船渡の降水量はかなり少ないことがわかります。
実際に2025年に入ってからの大船渡の降水量は1月が20ミリ、2月が2.5ミリで、2月は平年のわずか6%という極端な少雨でした。冬型の気圧配置が続いたことで乾いた風が吹き降り、晴天が続いたことが原因です。大船渡沿岸には2月18日からずっと乾燥注意報が出されていて、空気も地面もカラカラに乾いた状態。一度、火が出ると燃え広がりやすい状態でした。
◆日本海側はこれから乾燥の季節に

日本海側の地域は、これからが乾燥と強風の季節です。去年、福井県に発表された乾燥注意報の回数は、春(3~5月)が9回、夏(6~8月)が4回、秋が(9~11月)0回、冬(12~2月)が0回でした。
1年間で13回発表されているうち、9回が春です。これは、移動性の高気圧が大陸育ちの乾いた空気を運んでくるからです。
さらにこの時期は、高気圧の後に必ず低気圧がやってくるのですが春の暖かい空気と冬の冷たい空気が共に存在するため、低気圧が日本海で急速に発達することがあります。
2012年4月3日には、日本海で低気圧が急速に発達。福井市で最大瞬間風速 30.9m/sを観測しました。30m/sを超える暴風が吹くのは、秋の台風と、春の発達した低気圧だけです。
◆林野火災の出火原因の6割は人為的

2023年の全国で発生した火災の月別の件数で最も多いのは、3月です。要因は、乾燥と強風による気象条件と、春になり人が山に入る機会が多くなるということもあるようです。林野火災の出火原因は、全体の6割ほどが、たき火や火入れなど“人為的なもの”によるものです。
アウトドアやキャンプなど、調理やたき火をする機会がこれから増えますが、たき火や調理の火の不始末が山火事になる危険性もあるため、火の始末を徹底することや指定場所以外では火を使わない対応も必要です。
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