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福井を宇宙産業の拠点へ 県内企業や大学が進める人工衛星「FUSIONプロジェクト」 宇宙の画像取得に成功

2025.02.25 18:45

世界の宇宙産業の市場規模は拡大を続けていて、2022年時点で約54兆円、2040年には、約140兆円になると見込まれています。宇宙ビジネスは福井県でも活発化し、2022年からは県内の企業や大学らが取り組んでいる「FUSIONプロジェクト」が、人工衛星の製造から運用、データの利活用までを県内で手掛ける体制作りを進めています。

このプロジェクトによって開発された人工衛星が1月に打ち上げられ、初めての画像取得に成功しました。画像取得に至ったメンバーの今の思いや今後の展望を取材しました。

日本時間の1月15日午前4時9分。アメリカカリフォルニア州からSpaceX(スペースエックス)社のロケット・Falcon9(ファルコンナイン)に搭載された人工衛星が、皆の夢を背負って打ち上げられました。産学官が連携した「ふくい衛星運用ネットワーク構築プロジェクト」=通称「FUSIONプロジェクト」で作られた超小型人工衛星「FUSION-1」です。

このプロジェクトは、県内での衛星の製造から運用・データ加工・配信までのネットワークの構築を目的に、県の補助金を活用しセーレンと福井テレビ、福井大学、福井工業大学を中心とした「ふくい宇宙産業創出研究会」のメンバーらが、2022年から進めてきた事業です。

打ち上げから約18時間後の午後10時41分には、福井工業大学あわら宇宙センターの衛星地上局で、試験電波による通信が正常に機能していることが確認されました。その後、搭載されたカメラでの初画像取得に成功。画像には宇宙から見た地球が写っています。

FUSIONプロジェクトの中心を担うセーレンは、人工衛星の開発製造に加えて、打ち上げ後の運用も行います。坂井市三国町にあるセーレンTPF事業所の中村グループ長が運用室を案内してくれました。「アンテナや、衛星と通信をするときに使うアプリケーションを使って衛星を運用する部屋です」(中村グループ長)この運用室では、衛星の状態確認や、撮影などの指令を送ったりデータを受け取ったりしています。

中村グループ長は「何回衛星を作って打ち上げても、初回の画像見たときはほっとする。苦労してみんなで作ってきた衛星が宇宙で機能するか、動くかというのが心配で、嬉しさよりもほっとした気持ちの方が大きい」と話します。

「FUSION-1」には性能の違ったカメラが4つ搭載されていて、それぞれ異なる種類のデータが取得できます。「それぞれ特徴的なものが撮れるので、それを福井の人にも楽しんでもらったり、ためになるようなコンテンツとして提供していこうと考えている」と中村グループ長は今後を展望します。

FUSIONプロジェクトが今後目指すのは、取得したデータの利活用です。この利活用までを県内で一貫して行うことが、このプロジェクトの特徴で、自治体単位での取り組みとしては国内でも珍しいということです。

中村グループ長は「県内の企業、大学を含めたプレイヤーが合同で参加して、県内の技術、設備を使って衛星の製造から運用、データ配信までワンストップでできるようにしていくのが目的。新たに宇宙産業に入る人にとってはすごくニーズがあり、使ってもらえるサービスだと思う」と話します。

FUSIONプロジェクトは現在、衛星からの初の画像取得までこぎつけていますが、今後は運用を続けながら、取得するデータの利活用について検討を進めていくことになります。この利活用におけるデータ加工や配信を担っているのが、福井テレビです。

福井テレビは衛星の製造段階で、搭載されている4つのカメラのうち、2つのカメラシステムの開発を福井大学らと協力して行いました。担当した、技術部の尾崎雄一さんは「いままでカメラを使う側だったので、カメラ自体を作るのは初めての挑戦だった。衛星は宇宙に行ってしまうので、途中でやり直しもできない。プログラミングもしたが、これまでの業務ではやったことがない分野だったので、チームのメンバーと一緒に試行錯誤を繰り返しながら、なんとか乗り切った」と開発の苦労を話します。

開発したカメラで、初めて取得に成功した画像については「飛行機で見る風景よりももっと上から、気象衛星よりも地球の近くで撮れるものなので、間を埋める画像が撮れると思う。主に放送などで活用していくことになると思うので、県民の皆さんに見てもらいたい」としています。

県内の企業や大学らがフュージョン=融合して進めるこのプロジェクト。宇宙産業が、繊維や眼鏡に次ぐ福井の基幹産業となる日が来るのか。

FUSIONプロジェクトは今後、運用技術とデータ処理技術の習得を進め、県内の宇宙産業の拡大とビジネス化を加速させます。福井の高度な技術力を生かした新たな産業の創出と地域経済の活性化を目指す宇宙への挑戦は、まだまだ続きます。

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