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競争激化の美容室業界「AI搭載ミラー」設置店が福井県内初オープン 理想の髪形「見える化」で“差別化”図り最新トレンド発信へ
美容資材や光熱費などコスト上昇の影響で全国的に倒産が相次いでいる美容室。民間の調査会社・東京商工リサーチによりますと、2024年に発生した美容室の倒産は11月までに107件で、2000年以降で年間最多だった2019年をすでに超えています。
一方で、美容室は新規参入しやすいことから年々増え続け、福井県内でも2023年度の美容室数は過去20年間で最多の1994施設。店舗間でし烈な競争が繰り広げられています。
こうした中、差別化を図るためAIを取り入れた美容室が、1月に福井市内にオープンしました。活用法やねらいを聞きました。
福井市高柳にオープンした美容室「GHOAT」。周辺には約20の美容室がひしめく県内でもトップクラスの激戦区です。経営するのは、県内出身の吉井博孝さん(34)です。県内の美容専門学校を卒業後、海外や東京で技術を磨き上げ、福井市内で美容室をオープンしました。
店舗間の競争が激化する中、他店との差別化を図る秘策が、県内初導入だという「AI搭載ミラー」、一見、普通の鏡のように見えますが「客の分析結果が画像とともに出るようになっている」といいます。
どんな機能を備えているのか、実際に使い方を見せてもらいました。初めに、客がスマートフォンで好みの髪型のイメージや髪の悩み、カットやカラーの希望などをAIに登録、付属のカメラで顔を撮影すると、顔の骨格やパーツをAIが分析し、顔のタイプを診断します。診断結果は「顔の形的には卵型で、割とどういう髪型も似合いやすい顔の形」(吉井代表)
事前に客が登録した情報と顔の分析結果から、AIがスタイルを提案します。実際に使用した客は「最初びっくりしたが、自分の悩みや好み、希望をミラーを通して美容師にも伝えられるってのが良いと思った。革新的でいい」と好評でした。
このAIを使うことで、客の細かい要望や悩みを引き出した状態から会話をスタートできるため、微妙なニュアンスも伝わりやすくなり、よりポイントを押さえたカウンセリングが可能になるといいます。
また、自分の顔に合わせてヘアカラーのシミュレーションも行えるということです。この日は、AIの提案を踏まえたカウンセリングの結果、数センチのカットと髪を巻いたヘアスタイルに仕上げました。最後は、出来上がりを撮影しておくことで電子カルテのような役割も果たし、次回の来店時に役立てられます。
福井で開業した理由について吉井代表は「昔から福井は流行が遅れて入ってくることがすごく嫌で、福井からトレンドを発信できるような最先端のサロンを作りたいと思ったのがきっかけ」と話します。AIの時代なので、時代に沿ったカウンセリングが強味になると思い、AI搭載ミラーを導入したといいます。
そして、AI導入のメリットがもう一つあります。過去に芸能人が多く通う東京の美容室で、人気スタイリストとして働いていた県内出身の谷上さやかさんは「最新機器の導入により自分自身のスキルアップにもつながると思い、ここで働くことを決めた」と話します。AIは客の反応も良いし福井で初導入なので、自分自身も客も楽しめるのが良いといいます。
人手不足が叫ばれる美容室業界で、最新のAIは優秀な人材を獲得するのにも一役買っているようです。
吉井さんは「AI搭載ミラーを使って、客本人も知らなかった新しい自分に出会えるし、あそこのサロンに行けば間違いなくかわいくなれる、かっこよくなれると思ってもらえるように日々技術を磨いて頑張っていきたい」と意気込みを語ります。
AIの技術と磨き上げた技術で、福井からトレンドの発信へ。新しい美容室のスタイルが生まれています。
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