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行政が費用を“肩代わり” 所有者不明の空き家を勝山市が「略式代執行」 全国で過去最多、福井県内でも5年で8000戸増 “空き家問題”が深刻化
倒壊や景観悪化など、さまざまな悪影響を近隣にもたらす空き家。全国の空き家の数は過去最多の900万戸で、大きな社会問題となっています。総務省が5年に一度行う調査では、福井県内でも2023年10月時点で5万3100戸あり、5年前と比べて約8000戸増えています。
こうした中、勝山市は3日、法律に基づいて空き家を撤去する「略式代執行」を始めました。「略式代執行」とは、空き家等対策の推進に関する特別措置法第22条第10項の規定に基づいて、所有者が不明な空き家を、行政が費用を片代わりして解体することです。
撤去作業が始まったのは、勝山市長山町にある築約70年、木造2階建ての、住民が亡くなってから10年以上放置されていた空き家です。
柱や壁の腐食が進行していて倒壊の恐れがあるほか、獣などが住み着いてしまい、周辺住民に危害を及ぼす恐れがあるため、法律に基づいて3日から市が撤去作業を始めました。撤去費用は約250万かかり、作業は13日まで行われる予定です。
勝山市には現在522戸の空き家があり、そのうち18戸が倒壊などの恐れがある「特定空き家」に認定されています。
勝山市空き家対策係の齋藤恵一係長は「空き家の除去の補助金も準備はしているので活用してもらい、所有者が自身で処分してほしい。最近、空き家の取引も活発化しているので、早めに家がボロボロになる前に処分を考えてほしい」と話しています。
「特定空き家」は、危険性や衛生面、景観、周辺生活環境への影響の観点から各市町が認定します。「特定空き家」に対する具体的な措置は主に2つあります。▼所有者が分かる物件は法律に基づいた手順を踏んで行政代執行を行い、費用は全額所有者へ請求します。▼所有者が不明の場合は周辺住民の安全面を最優先に「略式代執行」を行い、自治体が空き家を撤去します。
県内には2024年12月末時点で、特定空き家が183戸あります。県は、今後も空き家は増加傾向にあるとして、早めの段階で中古住宅などの市場に流通させることや、倒壊して費用が高額になる前に空き家を撤去することなどを呼びかけています。
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