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地下水を汲み上げピザ窯やいろりで調理 自宅前の“秘密基地”を住民に無料開放する男性 「避難所としての機能も」【福井】

2025.01.16 18:45

越前市に、ピザ窯やかまどなどを自宅前の敷地に置き、誰でも自由に使えるよう無料で開放している男性がいます。呼吸器疾患の持病を抱える男性は、この「秘密基地」を訪れる人たちとの交流が元気の源になっていると語ります。

越前市内の住宅街にある「遊び塾えんま」を訪ねると、子供たちがいろりを囲んでいました。ここは、嵯峨郁毅さん(68)の自宅前の敷地です。

嵯峨さんは6年前から自宅前の敷地を地域の人たちなどに開放していて、訪れた人は無料で焚き火用の木材などを使うことができます。「いまは電気でピッとやれば簡単にできる分、色んな弊害を乗り越えてつくる楽しみがなくなってしまっている。失敗しながら楽しめるのがいいと思って作った」(嵯峨さん)

食材と炭は持ち込み制で、ゴミはもちろん持ち帰る必要がありますが、それ以外の使用料はすべて無料で予約も不要です。嵯峨さんは「自由に使っていいけれど、持って帰らないように、いたずらしないように、閻魔(えんま)様が見てるということで『えんま』と名づけた」と話します。

囲炉裏だけではなく、ピザ窯も自由に使うことができます。好きな食材を持ち込んで、普段は店でしか味わえないような窯焼きピザを作って食べることができます。

ピザ窯の隣では、陶芸用の窯でサツマイモを焼いて食べることもできます。「ゆっくり焼くとおいしくなるから」と嵯峨さん。

温度調整ができる陶芸用の窯は、じっくり時間をかけて加熱すると甘い焼きイモに仕上がるそうです。

ほかにも大型冷蔵庫や水洗トイレ、かまど、水洗い場なども整備し、投じた資金は500万円に上ります。嵯峨さんは「使用料を求めても金儲けにならなくて赤字なので、みんなが遊べればいいかな」と話します。

ピザが焼き上がり、さっそく出来立てを頬張る子供たち。「タマネギがちょっと半生…」などと感想を言いながら味わいます。

利用する人は「こういう場所があるのはいい。いまの若い人は知らないかもしれないが、昔はかまどでご飯を炊いていた。アウトドアがブームになって、興味があってもキャンプ道具をそろえるのはハードルが高かったが、こういう場所が街中にあると、食材だけ持って行ってやってみようか、という最初の一歩になる」と話します。

嵯峨さんは、遊び場としてだけでなく、緊急時の避難所としての活用も考えています。「最近はどこでも災害がある。水、電気、ガスがなく、生活できなくなってしまうが、ここは食べ物さえあれば2週間は生活できるので、しばらく滞在できる施設にしたい」

水は、越前市内の地下水を汲み上げていて、今後は太陽光パネルも設置し「避難所としての機能も高めたい」と話す嵯峨さん。アウトドアの面白さやちょっとした不便さを体感できる「遊び塾えんま」は、住民たちの命をつなぐ場所にもなっています。

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