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チョコレートやコーヒーも“高騰” 世界の“異常気象”で不作続き カカオ豆は3倍、コーヒー豆は4倍にも【福井発】
2月14日はバレンタインデーですが、チョコレートが例年になく高騰しています。背景には、世界的に続く異常気象で原料のカカオ豆が不作だったことが挙げられますが、影響は身近な飲み物、コーヒーにも及んでいます。現状を取材しました。
福井市内でチョコレートの製造・販売を手がける「横井チョコレート」です。
吉田圭吾アナウンサー
「こちらのお店では、バレンタインを前に期間限定のチョコレートやパティシエ手作りのチョコレートなど約40種類のチョコレートが並べられています」
今年のチョコレートの高騰について代表取締役の横井孝治さんは「(原材料の)カカオは3倍ぐらいに上がっている。ガーナ産とかで気候変動が激しいため不作。(こちらは)豊作か不作か分からない中で急に上がってしまった」と話します。
チョコレートは、発酵・乾燥したカカオ豆を焙煎してすりつぶしたカカオマスに、カカオ豆の脂肪分・ココアバターや乳製品を加えて作ります。
カカオ豆の世界の生産量の3分の2を占める西アフリカのコートジボワールとガーナでは、2024年の夏以降、異常気象や木の病害のため収穫量が減少し、貿易統計によると、日本の輸入量は2024年の1月から9月までで約30%減りました。
横井チョコレートでは、原材料をトンベースで大量に仕入れるなど対応に追われています。横井さんは「(2024年に比べ)ほんのちょっと上がっているだけで、今後はどうしようか悩んでいるが、できるだけもっといい原料を使っていいチョコを作りたい」と頭を悩ませます。バレンタイン商戦が終わるまでは、値上げは考えていないということです。
大手メーカーでは、ココアバターの代わりとなる植物性油脂の割合が多い“準チョコレート”の生産を増やすなど対策を打ち出しています。
一方で、コーヒー豆にも影響が出始めています。いま一番値上がりが激しいのがブラジル産のものです。
福井市でコーヒー豆の販売を営む「和珈屋」の小林美和さんは「去年の11月から一気に倍ぐらいに値段が上がっている。コロナ前から4倍近く上がっているコーヒーもある」と話します。
コーヒー豆の国際価格は、13年半ぶりに最高値の更新が続いています。
小林さんは高値の要因について「ブラジルは世界一コーヒーを生産している国だが、大幅な減産が大きな要因。干ばつももあり、その影響で相場も下がらない状況になっている」と話します。
また、小林さんは「コーヒーの生産現場の賃金が安い。他の仕事を求める人が増えている。生産者の減少に歯止めがかからない」と他の問題点も指摘。
和珈屋では、買い付けにも苦労する日々が続いていて「1月中旬からアフリカのケニアとエチオピアにドキドキしながら買い付けに行っていたが、コーヒー業界自体が史上最高値。コーヒーに関わる全ての人が大慌て」と話します。
コーヒー豆は、喫茶店などで使われる高品質な豆・アラビカ種と、インスタントコーヒーなどのブレンドに使われるロブスタ種がありますが、高騰はロブスタ種から始まり、アラビカ種にも影響を与えているといいます。
小林さん:
「いま、市販品のコーヒー豆の相場が高品質コーヒー豆に追いつこうとしているので、今後も値上げは避けられない。現状の価格が最安値。今後も上がることは避けられないと考えている」
カカオ豆、コーヒー豆ともに熱帯地域が原産ですが、近年の異常気象の影響が熱帯地域に影響を及ぼしています。コーヒー豆の場合、温暖化の影響で産地がより高地化していく中で供給が追い付いていない現状もあります。
和珈屋では、高騰の直前に年間契約を結び、なんとか価格を維持できるよう頑張っていますが、買った豆が届く2、3カ月以降先は「値上げは避けられない」と考えているそうです。
14日はバレンタインデーで、チョコレートの価格が上がっていることを実感するかもしれません。しかし、砂糖の値段は安定しているそうです。砂糖の原料の粗糖は南北の両半球、多くの産地で生産されているため価格は安定しています。砂糖の原料の粗糖が安定していることがせめてもの救いかもしれません。
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