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逮捕から38年、えん罪晴らした前川さん「終わることのない事件」 県警や検察からは謝罪なし 再審法改正へ決意新たに【福井】
39年前に福井市で起きた女子中学生殺人事件で被告とされた前川彰司さんが、やり直しの裁判=再審で無罪が確定しました。つまり前川さんは、えん罪でした。
裁判所が、再審でずさんな捜査や立証を批判したことを受け、検察や警察は反省の態度こそ示したものの、前川さんに対する謝罪の言葉はありませんでした。

7月18日、名古屋高等裁判所金沢支部で福井女子中学生殺人事件で逮捕・起訴されが前川彰司さんの再審判決公判が行われました。
判決の言い渡しで増田啓祐裁判長は「本件、控訴を棄却する」とし、前川さんの無罪を認めました。

8月1日、名古屋高等検察庁は再審判決に対する上告権を放棄。これにより前川さんの無罪が確定しました。
前川さんは、福井市内で弁護団とともに会見を開き「多くの犠牲を払ったという思いがある。でも、無罪を勝ち取ることができて悲願が果たせた。一度えん罪というやり玉に挙げられた者としては、終わることのない事件だと思っている」と胸の内を語りました。
弁護団も「本来、起訴すべき事件ではなかった。未必の故意、確定的な故意かもしれませんが、前川さんを生贄(いけにえ)にした事件。明らかに検察官の悪だくみ、検察が作り上げたえん罪事件」と強く批判しました。

一方、上告権を放棄した名古屋高等検察庁は次のようなコメントを発表しました。
「憲法違反や判例違反といった上告理由は見当たらず上告は行わない」
再審判決については―
「誘導等の不当な働きかけを行い、関係者の虚の供述に沿う他の供述が形成された疑いがあるとの裁判所の指摘を重く受け止めている」

また、関係者の供述を裏付ける重要な証言として、複数の関係者が犯行当日に福井テレビが放送した音楽番組を見た、という話がありました。
しかし、検察は後に、放送日が違っていたことを知りながら主張を維持したことについて「当時の検察官の対応は不公正だったという指摘を重く受け止め、真摯に反省し教訓とすべきである」としました。

前川さんを容疑者として逮捕した福井県警は、増田美希子本部長が会見を開き、次のような見解を示しました。
「警察の捜査の一部が不正不当、ないしその合理的な疑いがあるとして、主要関係者の供述の信用性が否定されたことについて重く受け止め、また真摯に反省しております」

ただ、前川さんに会って謝罪するのかを問われると―
増田美希子県警本部長:
「前川さんが今後、警察の捜査について訴訟提起されるという報道にも接しておりますので、諸般の情勢を踏まえつつ考えてまいりたいと思います」
この日、検察や警察から前川さんへの謝罪の言葉はありませんでした。

前川さんは「悪かった方が“ごめんなさい”というのが社会の常識、ルール。今回明らかに警察や検察に非があったわけだから、相応の事はしてほしい」
今後について前川さんは、国家賠償請求の訴訟も検討しています。「自分としては、民法によって福井事件はさらに裁かれるべきという考え」
前川さんは、自分自身の経験を生かして証拠開示などの明確なルールが定められていない再審法の改正に向けて、活動を続ける決意を語りました。「福井事件の無罪判決の勢いを、再審法の改正につなげたい。そのために僕は、この後も活動は続けていきたい。それが僕らの責務だと思う」
逮捕から38年、無罪を勝ち取った前川さんは還暦を迎えました。
失った時間は余りにも長すぎました
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