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倒産予備軍が10社に1社 中小企業が多い福井県内で増加する倒産 「社長が1人で何でも」ではなく専門機関に早めの相談を
今年に入り、福井県内では企業の倒産が増えています。上半期の倒産件数は30件あり、近年では新型コロナの影響があった2020年上半期の31件とほぼ同水準です。さらに県内企業の10社に1社が今後1年以内に倒産する確率が高いという衝撃的な数字も出ています。県内の企業に何が起きているのか、そして倒産を回避するためには何をすべきなのか、取材しました。
倒産予備軍が増加

民間の調査会社・帝国データバンクでは、今後1年以内に倒産する確率が高い企業を10段階のグレードで評価し、8~10を高リスク企業と位置付けています。
2025年6月時点で県内企業1万4442社を分析したところ、このうち9%にあたる1301社が倒産高リスク企業となりました。半年前に比べて105社増加しています。
帝国データバンクでは「コロナ後、業績回復が不十分な企業が顕在化している。ゼロゼロ融資の返済が本格化していると同時に、物価高も進行して価格転嫁が困難な会社など、様々な要因で倒産や休廃業のリスクが高まる会社が増えてきている」とします。
倒産予備軍に多い業種

倒産予備軍が増加した業種を見ると製造業が479社と最も多く、半年前に比べて109社増加。次いで建設業が27社増え、166社でした。
帝国データバンクでは「福井県は繊維産業が地場産業に挙げられるが、今は安価な海外製品との競合にさらされ価格転嫁が容易ではない。収益性が圧迫されて業績が低下し倒産リスクが高まっている」と現状を分析します。
北陸新幹線が開業し、県内では大型建設工事の需要減少に加え、住宅の新規着工数の減少で建設業も厳しい状況にあり、帝国データバンクでは今後も、県内企業の倒産は増加傾向が続くとみています。
倒産を回避するには―

福井商工会議所内には経営の改善や再生を希望する企業に対し、専門家が支援する国の機関「県中小企業活性化協議会」があります。
こちらでは去年から相談件数が急増し、過去最も多い件数を記録。2025年度は、8月時点ですでに70件を超え、前年度を上回るペースで増えています。
内容については「まず1つ目は借入金の返済が難しいという相談。2つ目は社会保険料、税金の返済が非常に難しいという相談。並行した相談も結構受けている」といいます。
専門機関に早めに相談し倒産を回避

去年、実際に相談のあった繊維業の会社の事例では、金融機関や外部の専門家と連携してコスト削減と販路の拡大を進め、相談から1年で黒字化することができました。
協議会では「中小企業の社長の大きな共通点は、1人で何でもしなければいけないという状況がある。事業を改善するより、営業をかけてなんとか売り上げを伸ばすという声を聞くが、社長の目の届かないところをお手伝いしている」といいます。
忙しい中小企業の社長は、金融機関とのやりとりさえ難しい状況が多く、協議会が代わりに、金融機関と交渉にあたるといった支援も受けられます。
協議会では、異変を察知し早期に相談すれば打てる手が多く、倒産を回避できるとして「まず日々の資金繰りと財務の利益をよく点検してもらえたら」と話します。
福井の経済と暮らしを支えている中小企業にとって、こうした支援を活用することも倒産を防ぐための一手となりそうです。
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