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“あえて小さな店舗”に建て替え 過去最高益「ゲンキー」の出店戦略 徹底的なコストカットで「最後の砦として」人口減少地域にも出店 福井
人口減少時代でも出店を増やし続けるドラッグストアチェーン「ゲンキー」の戦略を取材しました。
◆店舗の広さを3分の1に

坂井市丸岡町に本社を構えるゲンキー株式会社は、県内に88店舗、北陸や東海地方など県外を合わせると約500店舗のドラッグストアを運営しています。
ゲンキーの特徴は、商品全体の7割を生鮮食品や総菜などの食品が占めることや、消費者の節約志向に対応し価格を抑えたラインナップをしていることです。
2025年6月までの1年間の売り上げは2007億円で、売り上げ、利益ともに過去最高を記録する好調ぶり。その要因の一つに、ゲンキーが進める出店戦略があります。
吉田圭吾アナウンサー:
「もともと営業していた店舗のすぐ隣に、サイズを小さくした店舗が営業しています。県内ではよく見られる光景ですが…なぜ小さくして建て替えたのでしょうか?」
福井市にある森田店は2025年4月にオープンした新しい店舗。すぐ隣では、2014年から約10年間、3倍の大きさの店舗を営業していました。
建設部の岡部忠隆さんは「2000年代に出店を加速していた900坪タイプ大型店舗は、契約満期などを期に建物を貸し出して、商業施設として新たにリメイクすることを考えている」とします。
森田店と同様の店舗は他にもありますが「2029年を目途に店は辞めていく」とします。
◆季節イベントの特設コーナーを廃止

大きな店舗は様々な商品を並べられる一方、出店の際は広大な土地探しに苦労したり、一定以上の売り場をもつ建物の建設は立地法による警察などの審査で、出店までに8カ月以上かかるなどのデメリットもあるといいます。
同じ敷地内で建て替えることについては岡部さんは「地元の客を逃さないため」とし「同じ敷地内で300坪タイプで標準店舗として出店している」とします。
300坪タイプの標準店舗。ここに、成長を続けるゲンキーならではの特徴が詰まっています。「11本の通路というのを全店統一とし、入口は右か左かの違いで、同じ通路幅で商品アイテムも統一している」(岡部さん)。
そのほか、照明や柱、棚やエアコンの位置など、全てが同じ間取りの店舗を450店で展開。同じ建設資材を 大量発注することで出店コストを下げることに成功しました。
この方針は、現場で働く従業員にも丸岡高柳店の大瀧ひかる店長は「どの店舗に行っても同じ商品が同じ場所に陳列されているので、動きやすく無駄がないのが一番大きい」と話します。
また、5年ほど前からはクリスマスやバレンタインなど、季節イベントの特設コーナーを廃止したほか、随時入れ替わる新商品もほぼ扱わないことにしました。
以前は900坪の大きな店舗で働いていた大瀧店長は「季節によって入れるものが変わる。クリスマスならクリスマス向けての飾りや菓子を陳列することに時間がかかっていた」と話します。
季節商品や新商品の扱いを廃止することで、こうしたデメリットも解消したというのです。
◆徹底的なコスト削減で新規出店を叶える

季節商品廃止の方針についてゲンキーの藤永社長は「年2回しか棚替えしない新商品は、6カ月間様子を見て売れたものだけを投入する。365日のうち65日はイベントなどの“ハレの日”だが、残り300日は日常。この日常をしっかりやっていく方が分母が大きいという考え方」と話します。
出店や従業員の動きまで徹底的にコスト削減を突き詰めた結果、可能となったのが人口減少が進む地域への出店です。「生活必需品が買えなくなるのは不便なこと。他店がなくなっても最後の砦として当社が残る。一店舗もないところにも出店していく」(藤永社長)
他のドラッグストアでは、安定した経営のため1店舗につき約1万5000人の商圏が必要と言われる中、ゲンキーではその半分、7000人でも収益が見込めるとして、過疎化が進む地域でも出店を増やしています。
県外出店の戦略については「名古屋市や金沢市などは後に回している。愛知県でもシェアを上げるのは名古屋市以外で1位をとること」と藤永社長。300坪の同じ間取り、売れ筋商品だけを同じ場所に並べる戦略で高速出店を進めるゲンキー。今後の成長も目が離せません。
【ゲンキーの新規出店数実績】
2023年6月~ 31店舗
2024年6月~ 54店舗
2025年6月~ 66店舗
2027年6月~ 100店舗(目標)
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