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原発の新設へ 関西電力が美浜原発でのボーリング調査を公開 地元事業者「やっとここまで来たか」 福島第一原発事故後、国内初 福井
関西電力は、美浜原発での新たな原発の建設に向けて地質調査に着手しました。福島第一原発事故後、新たな原発建設に向けた調査が行われるのは国内初で、14日はボーリング調査の現場が報道陣に公開されました。
関電は11月5日に、美浜原発での地質調査の着手を発表。美浜町丹生にある調査エリアで、10日からボーリングを開始しました。
小林直史記者:
「美浜原発の北側にある地質調査の現場です。こちらでは今、地中の岩石などを棒状に採取するボーリング作業が進められています」
14日は、原発北側エリアの調査現場のボーリングの様子が公開されました。協力会社の作業員が、やぐらの上から直径10センチほどの筒を機械で地中に押し込み、掘削を進めていました。この現場では現在、地下約20メートルの地点まで到達していて、12月初旬までに地下約70メートルの深さまで掘削するということです。
今回の現地調査では原発の南北2つのエリアであわせて21カ所を掘削し、地質の状況などを確認します。
関西電力は、美浜原発での新たな原発の建設に向けた地質調査を、2011年の福島第一原発事故を受けて中止していましたが、2025年7月に森望社長が再開を表明。8月には、美浜町の戸嶋秀樹町長が容認の意向を関電に伝えました。
この現地調査は、新たな原発の建設に優位なエリアを大まかに選ぶもので、2026年9月までかけてボーリングや地表の観察、記録などを行います。
その後、2027年3月までに調査結果の分析や評価などを終え、選んだエリアで3年ほどかけてより詳しい調査を行う予定です。
地質調査の開始を町民はどう受け止めているのか、取材しました。
「工事は色々大変だろうけど、地域活性のためには必要だから、早くやって進めてほしい」
「安全面とかは住んでいる以上は心配なので、そこだけ徹底してほしい」
「原発は安全第一、安全であれば美浜町は大変世話になっているので推進していい」
原発の建設や発電所内で特殊なクレーンを使った工事、定期検査などの業務を請け負う、美浜町久々子にある耕雲商事の国川晃社長(43)は調査開始を受けて「2011年に3.11があり、それから原子力に対して風当たりがかなり厳しくなった。率直に言うと、やっとここまで来たかという感じで、単純に嬉しい」と話します。「自分たちがプライドを持ってきた原子力が、世間から一定程度、必要とされている現象」と受け止めています。
ただ、国川社長は原子力産業に関わる将来的な人材不足を心配します。「原子力の技術者育成という観点でも、僕たちの世代は原子力発電所の建設を経験した世代ではない。私の会社は50人以上がいるが、原子力発電所の建設を経験した社員は4人しかいない」とし「残された時間はそんなにない。適切なスピード感を持って対応してほしい」と訴えます。
一方、ボーリング調査初日の10日、美浜原発と関電原子力事業本部の前では反対派の住民による抗議活動が行われました。
関電は、地質調査の結果だけでは新たな原発の建設を判断せず、安全対策を強化した次世代型原発「革新軽水炉」の開発状況や事業の採算性なども踏まえて判断するとしています。
政府は、2025年2月に改訂した第7次エネルギー基本計画で「原子力を最大限活用していくことが極めて重要」としています。高市早苗総理も所信表明で「原子力など国産エネルギーは重要」とし、「次世代革新炉やフュージョンエネルギーの早期の社会実装を目指す」としています。
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