ニュース
県内のニュース
“まちの衣料店”からネット販売で急成長…大手通販サイトで年間表彰 あわら「すててこ」の新戦略 福井
新年度に向けて、気持ち新たに衣料品をネット販売で買い替えた人も多いかもしれません。あわら市に、下着を中心とした衣料品のネット通販で急成長している会社があります。新たな物流センターにカメラが潜入し、右肩上がり成長の“秘密”と戦略を探りました。

あわら市の幹線道路を進むと見えてくる、大きな倉庫。
会社名は「すててこ」。
1年前に稼働を始めた本社兼物流センターには、奥までずらりと棚が並び、靴下やシャツなど、さまざまな商品が収められています。
「下着がメインで、男性のボクサー下着、子供用ショーツ、ストッキングや小学校のカッターシャツも…種類でいうと1万点ぐらいあります」(スタッフ)
社名の「すててこ」も、もちろんあるそうです。

「すててこ」の通販サイトでは、メーカー品や自社製品を問わず、子供から高齢者向けまで、あらゆる商品を取りそろえています。
「母親がまとめて家族分を注文でき、一度にそろえられることが“強み”」だといいます。
新年度前のこの時期は、一年の中でも繁忙期。子供用の「ネームシール」も次々と注文が入るヒット商品です。

現在、従業員70人の「すててこ」は創業80年で、元々は商店街やショッピングセンターにある“まちの衣料量販店”でした。
3代目の笹原博之社長は、大手ファストファッション店が県内にも出店し始めた2000年頃、独学で学んだパソコンを使ってネット販売を始めました。
「地場のチェーン店ではなかなか売り上げが上がらない。じゃあ、次にどうするか…頭を抱えていた中でネット販売のサイトを作ったら注文が入ってうれしくなった」と振り返ります。
下着に特化した理由は、オシャレなアパレル製品は、モデルや見せ方などが必要になるから。ネット通販を始めた当時は、いまのように画像を作ることが簡単ではありませんでした。一方の下着にはメーカーのカタログがあり、パッケージの写真を利用すれば商品ページにできるため、“ネット販売向きの商品”だと考えたのです。

ネット販売の売り上げは年々、右肩上がりに成長。始めて10年で1億円を突破し、コロナ禍も追い風に、今年度は17億円に迫る勢いです。
成長の“秘密”はどこにあるのでしょうか―
「客は注文したら、商品をすぐに欲しいと思うので」価格はもちろん、重視するのは「スピード」です。「対応するためには商品が手元にないと注文から即出荷ができない。ということは商品を抱える倉庫が必要になる」(笹原社長)

大きな物流センターにこそ、“答え”がありました。
センターの大きさは幅80メートル、奥行き60メートル。同業他社が在庫を抱えることを嫌がる中、「すててこ」は、あえて商品を手元に持つことでスピードアップを図る戦略なのです。
注文は、1日平均2000件。すぐに出荷できる体制が整っています。
「これができるのは福井だから。大都市でこの大きさのセンターはコストが非常にかかる。なおかつ、福井は東京・大阪・名古屋の都市圏からちょうど良い位置にある」(笹原社長)
大きな倉庫を持ちやすい環境。そして、顧客が多い大都市と近く、送料を抑えられる地理的なメリット。こうした理由から笹原社長は“福井はネット通販に向いている”と分析しています。
物流センターの隣にはさらに土地を用意していて、拡大も検討しています。

そして去年、大手通販サイト「楽天市場」が、売上や利用者の人気投票に基づいて表彰する制度で部門別(インナー・下着・ナイトウェア)の「年間ベストショップ」に輝きました。
今後について笹原社長は「キーワードは『成長』。会社、社員も“成長の未来”を見ながら働いてほしい」と語ります。
5年後の売り上げ目標は、いまの2倍近い30億円。時代に合わせて業態を変え、“福井ならではの強み”を生かした戦略を貫く「すててこ」。いまも、まだ成長の途中です。
- 広告


