ニュース
県内のニュース
31歳の若き氷店主「地方を元気づけるのは僕ら」 後継者不在だった福井の老舗2店を合併し事業効率化 家業との“二足のわらじ”で奔走
連日、猛暑が続く中で需要が高まる氷。福井市内には氷販売店が3店舗ありますが、7月にはこのうちの2店舗が合併しました。さらなる事業拡大を狙う“日本一若い氷店主”の取り組みを追いました。
福井駅近く、新栄商店街の飲食店に氷を配達しているのは、福井市の氷店「さくら氷」の吉田師士社長です。31歳の“日本で一番若い氷店主”です。
福井県内の多くの地点で35度を超える猛暑日を記録したこの日、吉田社長は福井市や鯖江市の飲食店、高校野球県大会の敦賀市の会場まで午前中からいろいろな所に氷を配達。最後に届けたのがこのバーでした。
バーの店主は「お酒が美味しくなる魔法の氷。イベント開催で急に言っても対応してくれるし、フラットな感じで、楽」と語ります。
さくら氷の加工所を訪ねると、吉田社長は氷をカットする作業に大忙し。さくら氷は100年以上続く老舗ですが吉田社長と創業家とは関わりがありませんでした。
元々は、実家の盛り篭の専門店で働いていた吉田社長。5年前に家族から「さくら氷の社長が後継者を探している」と聞き、会社を受け継ぐことを決心しました。
3年前に家業を正式に継ぎ、いまでは“2足のわらじ”で活躍しています。
吉田社長は「同級生と話をしても(家業を)継がないという人がいるが、地方を元気づけられるのは僕らの年代だと思う」と話します。
当時、吉田社長は氷販売業そのものに深い思い入れはなかったといいます。しかし、事業を続けるうちに、氷を飲食店やイベントに提供する使命感や福井の経済を裏方として支えている喜びが強くなりました。
そんな吉田社長が、氷事業の拡大のために次の一手を打ち出しました。それは福井市内で同じく100年以上続く老舗の氷販売会社との合併でした。
その相手となったのが、ヨシノ氷商店です。7月1日にさくら氷への吸収合併が成立しました。
「良いと思ったことは成果があるまでやってしまう性格なので、ひたすらメリットを強調しながら訴えた」と吉田社長。
ヨシノ氷商店は、経営者の高齢化と後継者不在に直面していました。吉野高敏元社長は「彼はなかなかやる気のある人。悪い話ではないと思った」といい「年々、体力が落ちてくるので、この先のことを考えると早い段階で彼に任せた方が良いと思った」というのです。
合併を機に吉田社長は経営の効率化に乗り出しました。さくら氷は「製造」、ヨシノ氷商店は「保管」と役割を明確にしたのです。
加工機械をさくら氷に集約することで氷のカットから袋詰めまでの作業効率が大幅にアップしました。
一方、ヨシノ氷商店の施設の保管スペースが広がったことで、3件の新規予約を獲得することができました。
「まだ2週間ぐらいしか経っていないが、2つの会社が1つになって良かったと実感している」(吉田社長)
そんな吉田社長が次に目指しているのは、従業員の幸せです。「売り上げを追及する、その次にやりたいのは従業員への還元。健康で長く働ける会社を目指して、今後も進んでいきたい」
連日、猛暑が続くこの夏。吉田社長は「県内でまだまだ氷の需要があると思うので、その需要を掘り起こしてイベントや飲食店をサポートして事業を拡大していきたい」と意気込みます。
日本一若い氷店主は走り続けます。
- 広告


