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再審法改正「結局は政局の駆け引き」弁護士が批判 議論深まらぬまま証拠開示が“限定的”に「運用次第では改悪」

2026.08.06 20:20

40年前の福井市女子中学生殺人事件を巡り、殺人罪で服役した前川彰司さんが再審無罪となって、8月で1年が経ちました。
 
そんな中、これまでに議論されてきた再審制度を見直す改正案が7月17日に参議院で可決し、改正再審法が成立しました。
 
しかし、その中身は、えん罪被害者の救済には不十分な内容でした。

 

7月14日、参議院法務委員会で行われた参考人質疑。40年前に福井市で起きた女子中学生殺人事件の被害者の姉・大橋宏子さんが現在の心境を話しました。
 
被害者の姉・大橋宏子さん:
「証拠をちゃんと出して、すぐにやり直しの裁判をして、前川さんのような人はすぐに無罪にして真犯人を見つけて処罰する法律をつくってほしい」
 
一方この場には、殺人罪で服役し去年、裁判のやり直し=再審で無罪となった前川彰司さんも参考人として出席する予定でしたが「自分が話しても意味がない」と急きょ欠席。それは、改正案の中身が不十分だと訴える怒りの抗議でした。
 
しかし7月17日、参議院本会議で再審の制度を見直す改正案が可決。改正再審法が成立しました。再審制度の見直しは、刑事訴訟法が制定された1948年以来、初となります。 

 

法制審議会メンバーの鴨志田祐美弁護士は、今回の改正について次のように指摘します。
  
「検察官が証拠を隠し、警察が証拠をねつ造する。そして検察は再審開始に不服を申し立て、さらに抵抗する。こういうことを何とかしなきゃいけないと始まった再審法の議論だったのに、最後の判断を結局は検察に委ねてしまうような内容で、運用上の懸念ばかりが残る。運用によっては改悪になりかねない」
 
改正再審法では、前川さん自身も一度、再審開始決定が取り消されることになった再審開始決定に対する検察の不服申し立て(=抗告)は、十分な理由がある場合を除いて「してはならない」という「原則禁止」が定められました。
 
しかし、前川さんや鴨志田弁護士が最も重要と訴えるのは「証拠開示」です。
 
前川彰司:
「証拠開示があれば、多くのえん罪犠牲者や再審請求人が再審開始決定へ導かれ、救済につながると思う」
 
福井事件で前川さんを有罪へと追い込んだ重要な証言の一つである、関係者が事件当日に見たと話した福井テレビで放送された音楽番組は、のちの証拠開示により放送日時が違っていたと明らかになりました。

 

検察の証拠隠しを防ぐためにも必要な証拠開示。
  
改正再審法では、裁判所が必要性を考慮して提出を命令すると定められ、証拠開示が限定的となりました。
  
鴨志田弁護士:
「無罪の証拠が埋もれたままになって、えん罪被害は結局救われないんじゃないかという大きな懸念がある。再審請求を始めようとする人にとっては、真相に近づけるかどうか、自分が救済されるかどうか、一番大事なのは証拠開示」
 
そんな中、7月に名古屋高検は、当時の対応について調査結果を公表。
 
少なくとも6人の検察官が事件当日に放送された音楽番組の放送日時が異なっていた事を認識しながら裁判を進めていたことが明らかになりました。
 
証拠開示についての議論が進まなかった今回の国会。参議院では「高市総理のSNS問題」などで与野党対立が激しくなったことにより、再審法についての審議が進まなかったと話します。
  
「人の命がかかっているような問題が、結局最後は自民党の党議拘束や政局の駆け引きの中に使われてしまった。私はそこが一番残念だし、それが法務・検察の分厚い壁を国会では破れなかった要因だと思う」と鴨志田弁護士。
 
議論が深まらず成立した改正再審法。えん罪被害者の救済につなげることができるのか、今後の適切な運用が求められます。

 

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