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【北陸新幹線開業1年】にぎわい継続へ“正念場” 「くるふ福井駅」は1000万人突破で好調も 空き店舗目立つ商店街 地元リピーター獲得へ進む“小さな再開発”
北陸新幹線が2024年の3月16日に福井開業し、まもなく1年。その効果や課題などについて3回シリーズで伝えます。初回は大規模な再開発が進む福井駅周辺について、高まるにぎわいを持続させるために何が必要かを、店の経営者やまちづくりのキーマンに聞きました。
福井県が喜びの声に沸いた北陸新幹線県内開業からまもなく1年。新幹線はすっかり福井のまちなみに溶け込み、日常の風景となりました。
平日午後のJR福井駅には、ビジネス客や大きいスーツケースをもった家族連れなどの姿がみられます。県や市によりますと、福井駅周辺の人出は開業後直後に比べて落ち着いてはいるものの好調に推移していて、新幹線開業に合わせて福井駅構内にオープンした「くるふ福井駅」は1月には来館者数1000万人を突破。くるふ福井駅によりますと、想定より2カ月早いスピードだといいます。
福井市中心市街地の活性化に取り組む「まちづくり福井」の松尾大輔社長は、開業後の1年を振り返り「シンプルに人が増えたと思う。元々、福井のまちなかに元気がなくなっていた頃と比べると平日でもお客さんが歩いているし、動くティラノサウルスの前で旅行客が記念写真を撮っている。まち全体としてはかなり活気が出ているんじゃないか」と分析します。
福井駅西口の再開発が進み、駅前周辺の街並みもずいぶん様変わりしました。A街区に2024年にオープンしたのは、フードホール「ミニエ」などが入る「フクマチブロック」。その西側にあたるB街区には、商業施設を伴う複合施設が1年後に開業を予定しています。駅前南通り地区には、北陸初進出のカンデオホテルズ、商業施設を備えたマンションなど、全体としては2029年2月に完成する予定です。
吉田圭吾アナウンサー:
「現在も工事が進んでいますが、少し西側に進みますと大規模な再開発の対象にはなっていないエリアもあります」
福井駅西口から500mほどのところにある新栄商店街では、日中の人通りはまだまだ少なく、空き店舗が目立ちます。2024年8月時点での新栄商店街を含む中央1丁目の空き店舗は31店舗で、割合にして13.2%。こうした現状の中、まもなく開業2年目を迎えるいま、にぎわいのカギは「地元客のリピートだ」と松尾社長は言います。「どうしても新幹線によるブームやにぎわいは時限的なもの。今後どうやって現在のにぎわいを持続、発展させていくのか。県外客だけでなく地元の人がどれだけ楽しんで飽きることなくリピートして楽しめる街、多様なまちにしていくかが今後の大きな課題」とします。
地元客のリピートを見据え、大規模な再開発の裏では“小さな再開発”も進んでいます。県や市は3年前に新栄商店街など駅周辺の活性化を目的に、リノベーションや改修費用を補助する支援制度「県都まちなか再生ファンド」を創設。2月には駅周辺への出店を考えている人を対象に物件をめぐるツアーも行われました。
これまでに約40店舗がこの支援制度を使っています。このうち「ちょい呑み処 ババズ」は新幹線開業前の2023年10月に店をオープンしました。店主の東裕子さんは「当初から比べるとコンスタントに人が駅前に来ている感じがする。8割が福井に住む常連さん。屋台村やミニエを回っているという話で、よくこの店で盛り上がっていて、駅前の店で友達になって新しいコミュニケーションが生まれているのを実感している」と話します。客からも「楽しいお店やね、お客さんも楽しい人ばっかり」「地元は福井だけど東京に住んでいる。(駅周辺は)劇的に変わってすごく良くなって帰ってくるの楽しみになった」と好意的に受け止めています。“大規模な再開発”と“小さな再開発”が混ざり合って相乗的な効果が生まれているようです。
「県都まちなか再生ファンド」は2025年度から支援のメニューを一部改正しまちの多様性を図るため、飲食店以外にも体験型サービスを提供する店舗の取り組みなども積極的に応援します。
また、3月末には3つの建物をリノベーションして1つの建物にした複合施設「コノジナガヤ」もオープンします。カフェや紅茶専門店、古着のセレクトショップなどバラエティに富んだ8つの店舗が入ります。
小さな再開発エリアでもにぎわいを生み持続させるため、まずは地元の人がおもしろいと感じる町へ。松尾社長は「今までは県外や海外の人向けの“一見さん”相手のサービス開発が主流だったが、これからは地元の家族連れなどに繰り返し来てもらえるような商品や(サービスや施設の)開発などもしっかりやっていく必要がある」と今後を展望します。
継続中の大規模な再開発と、動き始めた小さな再開発。それぞれの効果が最大限に重なり合ったとき、まちの姿はどうなり、どんなにぎわいが生まれるのか。
北陸新幹線開業から2年目をむかえる今、地元の人たちが何度も訪れたくなる“えきまえ”になるための新たな課題に挑戦する年になりそうです。
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