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【解説】国が描く「核燃料サイクル」の実現性から考える使用済み核燃料「県外搬出ロードマップ」 福井県は関電計画の実効性をどう判断?
関西電力が見直した使用済み核燃料の県外搬出計画は、杉本知事をはじめ議会や原発の立地自治体で今後、その実効性が議論されることになりますが、なぜ福井県は「使用済み核燃料の県外搬出」を求めているのでしょうか。
◆福井県の原子力政策の歩み
「使用済み核燃料の県外搬出」については、1990年代の栗田知事の原子力政策まで遡ります。当時の栗田幸雄知事が、電力の生産地と消費地が痛みを分け合う意味で「中間貯蔵施設の県外立地」つまり「使用済み核燃料の県外搬出を」と要望したのが始まりです。
その後の西川知事、杉本知事もこの政策を踏襲しています。今回のロードマップの提示も、四半世紀以上続く県の原子力政策の延長線上にあるわけです。
大前提として、原子力のエネルギー問題は国の事業、国策です。しかし、実行するのは民間の事業社なので、一筋縄ではいかないことも多くあります。
◆国が描くのは「核燃料サイクル」
では、県が県外搬出を求める使用済み核燃料について、国はどのように考えているのかというと、廃棄ではなく「再利用」することを前提としています。
使用済み核燃料には、まだ燃料として再利用できるウランやプルトニウムが多く残っていて、国はこれを処理し再び燃料として使おうという「核燃料サイクル」を進めようとしています。処理をしたものは「MOX燃料」と呼ばれ、処理をするまでに一旦、仮置きする施設を「中間貯蔵施設」としています。
一見すると資源を有効活用できるようですが、残念ながら現在、このサイクルはほとんど回っていません。サイクルの核となる再処理工場は、青森県六ケ所村で建設が進められていますが、これまでに27回も竣工が延期されています。
そして中間貯蔵移設も、国内では青森県むつ市の1カ所のみで、当然、国内すべての使用済み核燃料を貯蔵できる事はできず、2カ所目の建設も山口県・上関町での計画段階で止まったままです。
この現状を踏まえた上で、今回の関電のロードマップを見ていきます。
◆県内の使用済み核燃料の現状
関電が県内で稼働させている原発は、美浜、おおい、高浜の合わせて7基あり、現在、貯蔵量の9割近くが埋まっています。満杯になるまでの時間はわずかで、最も短い高浜原発では、約3年です。満杯になれば原発は停止しなければならず、関電がカバーする関西地域の電力供給に大きな悪影響を与えることになります。
現状、使用済み核燃料は原発のプール内で大量に冷却保管されていて、一時しのぎの措置にすぎません。東日本大震災で起きた福島第一原発のように、冷却装置の電源が故障するとプール内の熱が上がり、大量の放射性物質が放出する大事故につながりかねません。
それを防ぐためにも、原発内に長期間とどめずに“安全性が高い”とされる中間貯蔵施設に移して保管することが望ましいのです。
◆ロードマップの変更点
関電のロードマップでは、県内の原発から3つの搬出先を示しています。1つ目はフランス搬出、2つ目は中間貯蔵施設、3つ目は再処理工場で、今回はこのうちの2つが前回から変更されました。1のフランスへの搬出量が200トンから400トンに倍増。3の再処理工場への搬出時期に加え、搬出量も明示されましたが、結局、六ケ所村の再処理工場の竣工がまた延期されれば、今回のロードマップも見直さざるを得ず、構図は前回のロードマップと変わっていない印象です。また、2の中間貯蔵施設については、建設場所の選定という問題もあります。
杉本知事は今回の「実効性」をどう評価し、判断するのでしょうか。
まもなく迎える3.11東日本大震災の福島第一原発の事故から14年が経ち、国民の原発への関心も高まる時期でもあります。県民としてしっかりとこの問題に向き合っていかなければなりません。
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