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人手不足の介護現場 プライバシーを守りつつ転倒や心拍、呼吸レベルを知らせる新システム 若狭町の事業者が開発

2026.11.03 20:03

介護現場で人手不足が課題となる中、福井県若狭町の介護事業者が独自で見守りシステムを開発しました。どのような仕組みなのか、なぜ介護の会社が自ら開発に乗り出したのか、その背景を取材しました。

 

若狭町に本社を構える等愛グループは2011年に設立し、「わらく」の事業所名で県内や石川県で介護事業を展開しています。今回新たに開発と販売をスタートさせたのが「itosie見守りシステム」です。
  
等愛グループ・加藤寿一社長:
「介護現場の人手不足、そして夜間帯のスタッフの負担が大きな課題だったので、テクノロジーを使って目を増やせないかというのが開発のきっかけだった」
 
高齢化が進む中、介護施設では入居者の安全を守るため、日々の様子を把握する“見守り”が欠かせません。
 
一方で、限られた職員で多くの入居者を見守るには、目の届かない時間や場所が生じることがあります。
 
こうした中、介護施設ではカメラなどを活用して入居者の状況を把握する見守りシステムの導入が進んでいます。

 

今回の見守りシステムでは「TOFカメラ」という距離情報などを利用して動きをとらえる特殊なカメラを採用しています。
    
「既存の見守りシステムは通常のカメラを居室に置くので、監視のようになってしまう。プライバシーに配慮しつつ、安心安全での機能を使って瞬時に転倒検知、そういったものがなかったので自社で開発をスタートした」(加藤社長)
  
映像は赤や青、緑などで表現され、別室の端末で確認できます。ベッドから起き上がるなど人の動きはシルエットで把握できますが、排泄介助や着替えの様子などは具体的には分からない仕組みです。
  
「やはりプライバシーや羞恥心の配慮は、介護職員にとって必要な部分。プライバシーを極限まで配慮している」と加藤社長。
  
さらに、カメラにはAIが搭載されていて、離床や転倒などを即座に検知し、職員に通知します。前後15秒間は記録として残るため、転倒などが起きた際の状況も確認できるといいます。

 

このほか、医療機器ではないものの、微小な動きを捉える「ミリ波センサー」とも連動していて、心拍や呼吸レベルの変化まで検知できるとしています。
   
実際の介護現場ではどのような効果があるのかを調べるため、この会社では今年2月から7カ月間にわたって実証実験を行いました。
 
実証実験を経験したスタッフは「いままでは部屋で倒れていないか、急変していないか夜間は気が張っていたが、画面上で確認できるので安心感が生まれた」と話します。
 
実証実験では、夜間の見回りスタッフを3人から2人に減らすなど巡回業務の負担軽減につながったといいます。
  
全国で福祉用具の開発や普及の推進に取り組むテクノエイド協会は、今回の現場発の取り組みをこう評価しています。
 
公益財団法人テクノエイド協会・五島清国企画部長:
「介護の現場は朝から晩まで、いろんな状態の人が入ってくる。開発するにあたっては、1日の流れを把握しているところが重要。(このシステムは)プライバシーを守りながら転倒やバイタル情報などを可視化できるので素晴らしい」
 
等愛グループは今後もシステムの改良を進めるほか、利用者用のスマートリングの開発にも独自で取り組み、日中の活動量や夜間の睡眠など24時間の情報も組み合わせ、利用者の健康状態の把握につなげたいとしています。
  
等愛グループの加藤社長は「介護の経験を元に、現場の本当の悩みをスタッフ間で共有しつつ、どうしてもアナログな部分がある介護の現場を、AIなどの先端技術を使って安心安全にしていきたい」とします。
  
人手不足が続く介護現場。そこで働く人たちの声を出発点に、テクノロジーを活用して課題解決を目指す今回の挑戦。現場を変える一手になるのか、今後の展開に注目です。

 

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