ニュース
県内のニュース
福井豪雨から22年 濁流にのみ込まれた福井市蔵作町 1人も死者を出さなかった“地域のつながり” 高齢化が進むも「やっぱり離れられない」住民の思い
死者・行方不明者5人の被害を出した福井豪雨から、18日で22年です。甚大な被害を受けたにもかかわらず死者を出さずに済んだ福井市美山地区では、人口減少や高齢化が急速に進む中、当時の教訓は生きているのでしょうか。当時の事を知る集落の住民に話を聞きました。
福井市の山間部にある美山地区の蔵作町。22年前の2004年7月18日未明、この地域で1時間に96ミリもの猛烈な雨を記録。近くを流れる足羽川の支流から土砂があふれ、集落を飲み込んでいきました。
この集落に住む高松武法さんは「水が石垣の高さまで来て、蔵の白壁の手前まですべて土砂で埋まった」と緊迫した状況をいまもはっきりと覚えています。
2カ所の高台へ分かれて逃げ「自治会長の指示で逃げ遅れた人がいないか確認して、3人のお年寄りが残っていることが分かって」救助に向かい、幸いにして蔵作町で死者はいませんでした。
高松さんは、その理由を“住民同士のまとまりが強かったから”と語ります。「常に交流して人間関係を良くしておくことで、被害を小さくできた」
美山地区の人口は、福井豪雨のあった2004年は約5200人でしたが、最新のデータである2025年10月の時点では3300人台にまで減っています。
高齢化も急速に進んでいて、住民の半分近くは65歳以上の高齢者です。(2024年10月の時点で47%)
福井市の各地区では、住民が自主防災組織をつくり支援が必要な人一人一人に対して避難させる場所・方法を事前に決める「個別避難計画」も定めています。
しかし、人口減少と高齢化が急速に進んだいま、計画通りに避難などを実行できるのか課題が残ります。
福井豪雨で濁流に飲まれた福井市蔵作町には現在、130人ほどの住民が暮らしていますが、ここ20年で集落の人口は70人ほど減りました。
地元の高松さんは福井豪雨の時から地域の在り方や人々の考えも変わってきたと感じています。
「若者は日中働きに出ている。お年寄りがお年寄りを助けるということもあり得る。そういうことも想定した避難計画が必要。若者が団結してくれたらと思っているが、若者の考え方も変わってきているし、強制もできないかな」(高松さん)
それでも、福井豪雨の教訓はここにいる人たちにしっかりと根付いています。
「市の総合防災訓練では8~9割は集まってくる。過去の豪雨の経験からかもしれないが、率は他の地区よりも良いのでは」
この集落ではクマやイノシシが農作物を食い荒らすなどの被害も少なくありません。自然災害のリスクと常に隣り合わせですが、住民たちはここに暮らすだけの理由があります。
「町のマンションに住めばなんの心配もないのに、と話したこともある。リスクはあるが環境・空気は良いし、人との交流も多いし、良いところだと思うので、やっぱり離れられない」こう語る高松さん。
人口減少と高齢化が進む県内。変わりゆく地域の中で、命を守る教訓や人のつながりをどう維持していくのかが問われています。
一緒に読まれている記事
-
壊滅的な大雨被害から“復活”遂げたソバ畑 9月にまき直した種から一面に白い花 11月には収穫 福井市
-
大雨から“復活”…ソバの花が満開に 8月大雨で畑が冠水し壊滅状態に 9月に種をまき直し咲きそろう 福井市
-
ニセ警察詐欺で福井市の30代男性が500万円の被害 「身の潔白を証明するため」と持ち掛けられ2回にわたり指定口座に送金、だまし取られる
-
出火から10時間後に鎮火 福井市の撚糸工場火災 「けが人いなくて良かった」付近の住民は一時、公民館に避難 国道158号通行止めで一部の小中学生は登校できず
-
出火から7時間…消火活動続く 生産量で福井県内トップクラスの撚糸工場で大規模火災 近隣住民が一時避難、約340戸が停電
-
里親から虐待…悲しい過去を抱える“元野犬” 新しい家族に愛され、もはや野性忘れる幸せ生活
-
的中率13%…「線状降水帯」の発生予測 今年5月からは「直前予測」運用開始 精度には課題残るも“高い確率”で記録的大雨に
-
住民の2人に1人が高齢者 土砂が流入した福井市美山地区 ボランティアによる一斉支援は一区切り いまだ残る住宅内の片付け…今後は“個別支援”へ
-
すべての住民に支援策のお知らせを 区長がチラシを“手配り” 「高齢者にも確実に」坂井市が選んだアナログ手法
-
「心が和みます」浸水で自宅の風呂が使えない市民に温浴施設を無料開放 坂井市「霞の郷温泉」で9月末まで
- 広告


