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自然の脅威と美しさ 冬の「荒島岳」で雪と強風が生み出す造形美 行く手には50メートル超のクレバスが出現【福井】

2025.02.06 19:00

連日の大雪で大変な状況が続いていますが、自然の脅威と美しさは表裏一体です。大野市にある福井県内唯一の日本百名山、標高1523メートルの「荒島岳」には四季折々の美しさがありますが、冬にしか見られない絶景があります。強風や雪によって生み出される造形美を求めて、1月末に撮影に向かいました。

1月22日午前5時半、日の出前に荒島岳の麓にある勝原登山口で、登山ガイドの脇本浩嗣さんと合流。辺りはまだ真っ暗。ヘッドライトの明かりを頼りに、山頂に向けて出発しました。

雪を踏みしめながら歩みを進めていると、徐々に東の空がオレンジに色づき始めます。夜明け近く、太陽が顔を出す前の静寂なひとときー

午前7時。やがて迎えた日の出の時刻。真っ赤な太陽が周囲を赤く染めていきます。

登り始めて約2時間。標高約1200メートルの地点にある荒島岳の難所「もちが壁」に差し掛かると、急な斜面が続きます。ストックをつき、一歩一歩、足元を踏み固めながら登っていきます。

眼下に広がる雄大な景色に励まされ、もうひと登りです。

「これがシュカブラ。表面が風紋になっている」脇本さんが立ち止まって見せてくれたのは、風が強く吹くことで形成される波状の“雪の造形美”シュカブラ(風紋)です。

「スノーモンスターになりかけ」と見上げたのは、樹木に水滴などが凍り付き
その隙間に雪が付着してできる「スノーモンスター」。小ぶりなリトルモンスターを見ることができました。

大きな斜面を登ると、標高1420mのポイント、中荒島に到着。標識には霧状の水分が付着して風の方向に伸びて冷え固まった、こちらも造形美“エビの尻尾”が出迎えてくれました。

山頂まで、あと400メートルほどです。しばらくすると現れたのは、雪の深い割れ目「クレバス」です。幅2メートル、深さ7メートル、長さは50メートルを超える巨大なもの。足元に注意しながら進みます。

気温は氷点下7度、風速7メートル。出発から3時間半で、標高1523mの山頂に到着しました。

山頂にある標柱もすっぽりと雪に覆われています。山の上からは、四方の山々に囲まれた大野市内を見渡すことができ、雪深い冬ならではの光景が広がっていました。

荒島岳では雪の造形美が見られるのは魅力ですが、クレバスなどの危険な面もあります。例年、クレバスが発生するのは雪解けが始まる3月頃ということですが、今年の雪は水分が多く、凍りつかずに早い時期に発生しています。

冬の登山はしっかりとした装備はもちろんのこと、天気予報や山の状況を詳しく調べ、計画を立ててからの行動を心がけましょう。また単独での行動は避け、なるべく経験者と同行するようにしましょう。

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