#18 空き家を使ったビジネスを広めよ|福井テレビ

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Fukuiクエスト 放送日
#18 空き家を使ったビジネスを広めよ
2025年08月23日(土)放送

現在、少子高齢化や人口減少などにより、空き家の増加が 全国的に大きな社会問題になっています。

中でも、管理が行き届いていな空き家は、景観や治安の悪化、倒壊・破損等によるトラブル、行政費用の増加等、様々な問題の原因にもなっています。
福井県内でも、総務省の調査によると、2018年から2023年の5年間で、空き家の数が45000戸から53100戸と8100戸増加し、早急な対策が求められています。

 

 

 

管理が行き届いていない空き家は、人が住むには、リフォームなど手を加えなければならず、費用面で敬遠されがちで、なかなか買い手、借り手が見つかりません。
そんな中、近年、新しい動きがみられるようになっており、空き家問題の解決の手掛りになるのではと、期待を寄せられているのが、“空き家を使ったビジネス”なのです。

 

 

 

越前市で、キャラクターグッズの卸売りを手掛けるウロールは、20251月、まちなかの空き家でエビの養殖を始めました。
エビはバナメイエビという品種で、そのほとんどが輸入品で、3~4か月で出荷できると成長が早いのが特徴。ウロールの川上正宏さんは、いきなり大きな工場を建てるよりも、リスク回避の観点から、ちょうどよい大きさの空き家に着目。

 

 

今回の空き家を選んだポイントとして
・電気や水道などの設備がすでに整っていること
・床を抜くなど改装に対する家主の理解があったこと。
・元鮮魚店だったこともあり、排水性の良い土間があったこと。
等が決め手だったといいます。

 

越前市武生のまちなかの空き家で養殖するエビは、「シキブエビ」と命名。
研究員が訪ねた時は、ちょうど3回目の養殖を始めたばかりのタイミングで、目にしたのは、わずか0.002グラムの大きさのシキブエビ。
4月には、越前市役所でシキブエビの試食会が開かれ、ニュース番組でも取り上げられるほど。
川上さんは、国内養殖で生でも食べられるシキブエビを、越前市の新たな特産品にしようと意気込んでいます。

 

 

一方、鯖江市には、30年以上空き家になっていた繊維工場の建物で、キノコを栽培している人がいました。“鯖江隠れ家きのこ”の前田有美さんです。
前田さんは、依然食べた生キクラゲの味に感動し、また食べたいとスーパーなどを探しても見つからず、それなら自分で栽培しようと、キノコ栽培を始めました。
その際、ビニールハウスなども検討しましたが、条件に合うものが見つからず思案していた時、思い出したのが、父親の実家で空き家になっていた繊維工場だった建物でした。

 

高い天井と太い梁、砂利で排水性が良い土間、湿気を調節する土壁。さらには、風通しを良くする土壁の隙間と、湿気を好むキノコ栽培に適した条件がそろっていました。
試しに育てて見ると良い状態のキノコができ、正式に繊維工場跡でのキノコ栽培を決意。前田さんは、「他の物件ではできなかった」と、奇跡のようなめぐりあわせでした。

 

 

 

前田さんは、現在、夏が旬のキクラゲを栽培。600個の菌床を棚に並べ育てていて、スーパーや道の駅に出荷していの他、秋のシイタケやナメコ、冬の越前かんたけなど、年間を通してキノコ狩りなどを行っています。
そんな前田さんは、生キクラゲのおいしさを多くの人に知ってもらいたいこととともに、空き家を使ったビジネスの可能性を知ってもらいために、空き家を使ってビジネスを展開する人たちを訪ねる体験ツアーが出来たらいいなと考えています。

 

 

その思いに応えようと、研究員が向かったのは、以前、LABOで訪ねたことがある今庄宿(南越前町)にあるゲストハウス「地域まるっと体感宿 玉村屋」でした。玉村屋も空き家を使ったゲストハウスです。玉村屋は、宿泊弱が地域の食材を使って自炊するのが原則で、研究員は、前田さんから頂いた生キクラゲを、夕食の一品加えてもらおうと考えていました。
ちょうどこの日は、大阪で飲食業を手掛けている家族が泊りに来ていて、早速調理してもらいました。
さっと湯通しただけの“生キクラゲのお刺身”に家族は、こどもの大人も大喜び。料理人のお母さんは、「タイ料理のヤムウンセンという春雨サラダに使ってみたい」と料理のアイデアを膨らませていました。

 

 

一方、「空き家を使ったビジネス体験ツアー」については、玉村屋の代表・中谷翔にお願いすると「玉村屋の体験メニューに加える」と快諾。
空き家を使ったビジネスと広める第一歩を踏み出すことが出来ました。
LABOでは、今後も「空き家を使ったビジネス体験ツアー」の実現について引き続き調査していきます。

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