番組情報
- #25 福井県の花「スイセン」を守れ!
- 2025年10月18日(土)放送
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福井県の花「スイセン」。
日本海の厳しい寒さに耐え、可憐な花を咲かせる福井の冬の風物詩になっています。
昔から県民に愛され1954年(昭和29年)には、県の花に選ばれています。
越前海岸は、日本水仙の日本三大群生地の一つであり、海岸の斜面一帯に咲くスイセンは、「越前水仙」の名で多くの人に親しまれています。しかし、その越前水仙が今、危機を迎えているのです。
栽培する水仙農家らは、越前水仙を次世代に残すため、一丸となって守り続けています。梨子ケ平区長、越前町すいせん部会の会長を務めうる滝本正美もその一人。今回のわがまちプレーヤーでもあります。
越前町梨子ケ平では、棚田を利用して越前水仙の栽培を行っています。かつては、多い年で100万本以上を出荷していたそうですが、年々出荷量が減少し、2024年の出荷量は、最少の約42万本と半分以下になっています。出荷量減少の原因には、いくつかあり、「農作業の過酷さと不安定な収入による後継者不足や高齢化」「8月や9月の高温少雨(気候変動)」そして「獣害」です。
中でも、特に水仙農家を悩ませているのが「獣害」です。イノシシは、年中地面を掘り起こして、スイセン畑を荒らします。その一方で、スイセン畑に侵入したシカは、新芽や葉などを食べ成長を妨げます。
スイセン畑に調査する福山研究員の目の前には、衝撃的な光景が広がっていました。イノシシに荒らされ、数えきれない量のスイセンの球根が地表むき出しになっていたのです。対策は施していて、獣害は、毎日のように発生。このペースが続けば、スイセン畑が消滅し、将来的に越前水仙の産地ではなくなるのではないかと農家たちは危惧しています。
滝本さんは、「越前水仙は地域の宝」と言います。
もともと梨子ケ平の棚田では、稲作を行っていました。しかし、急斜面のため、水田の大規模化や機械化が出来ず、農家に大きな負担がかかっていました。そこで、負担を軽減するため、農家とった方法が、稲からスイセンへの転作でした。以来、現在まで受け継がれてきたスイセン畑は、肩を寄せ合いながら凛と咲く花の美しさが人気を集め、越前水仙は、福井県を代表する風物詩になっていきました。
呼鳥門と日本海、そして越前水仙を一望できる場所は、毎年全国からカメラマンが殺到するほどの人気の撮影スポットになっていました。しかし、今では、その「風景」は、ほとんど見ることができなくなっています。獣害の影響です。「地域の宝・越前水仙」を守るため、スイセン農家が、今年新たに取り組んだことがあるということで、滝本さんに案内してもらうと、福山研究員が見つけたのは、ウシ、2頭の若狭牛です。滝本さんが会長を務める、越前水仙の産地再生に取り組む農村型地域運営組織協議会「MISAKI未来」は、今年8月、獣害によって耕作放棄地となってしまった畑に若狭牛を放牧。福井県によると、ウシの放牧により野生動物の隠れ家となる雑草を食べ、また、人と野生動物を住み分ける境界線となり、畑への野生動物の侵入を防ぐことができるそうです。
また、スイセン農家を中心とした区民たちは、防護柵をさらに追加して獣害に備えるということで、福山研究員も手伝わせてもらうことにしました。
今回は、畑のまわりの3カ所に、あわせて約150mの柵を設置します。スイセン農家は60代や70代が中心、若い世代の力は貴重とのことで、福山研究員も気合が入ります。「今の冬もキレイなスイセンが見られますように」福山研究員も思いを込めます。
これまでシカやイノシシが侵入した痕跡があるところを中心に、みんなで協力して防護柵を設置しました。「花が咲いたら越前水仙を買って家に飾ろう!」
わがまちレベルアップLABOで考えた「越前水仙の農家のために出来る支援策」のひとつです。農家が丹精込めて育てた越前水仙を買い、家に飾り、愛でる、とても些細なことかもしれませんが、農家を応援することにつながるのではないでしょうか。
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