番組情報
#61 「天然の冷蔵庫」雪室の魅力を調査せよ
2026年08月15日(土)放送
ひまわりが咲き誇る福井県大野市の阪谷地区で、研究員は驚きの光景に出会いました。屋外に置かれた巨大なシートをめくると——
そこには、3月から保存されたままの雪が、カチカチのまま残っていたのです。
「夏に雪を触るって、なんか新感覚」
この取り組みを進めているのは、大野名水ゆきむろプロジェクトの3人です。
メンバーは、福井大学の鈴木さん、酒井化学工業の北川さん、スターランドさかだにの野﨑さん。肩書きも所属もバラバラな3人ですが、2040年のカーボンニュートラル実現を目指す福井大学の趣旨に賛同し共同で雪室の活用方法を模索し始めました。

雪室とは、いわば「天然の冷蔵庫」。電気を使わずに食材を低温保存する、昔ながらの知恵です。
ただ、従来の倉庫型は建設コストがかかるのが難点でした。そこでこのプロジェクトが開発したのが、シートをかけるだけで雪を保存できる「ゆきむろシート」です。
シートは三層構造になっていて、一番上が光を遮断する「遮光」層。一番下が熱を反射する「遮熱」シート。そして間に空気の層を設けた「断熱」——
この三つが組み合わさることで、真夏でも雪が溶けずに残るのです。
建物が不要なため初期コストを大幅に抑えられ、かけるだけという施工の手軽さ、さらに繰り返し使える点も大きなメリットだといいます。
さらに雪室で保存した食材には嬉しい変化が起こる可能性があるというのです。この日は雪室で保存していた大野産のそば粉と通常の保冷庫で保存されたそば粉の水分量を測る実験も行われました。
続いて雪室で保存したそば粉を測定すると15.20%
「結構いい結果なんじゃないですかね」と鈴木さんも表情を緩めました。
実は雪室の中は温度が一定に保たれるという特徴があります。一般的な電気冷蔵庫は設定温度から数度上下しますが、雪室にはそのような変動がありません。その安定した環境が食材へのストレスを軽減し、野菜の甘みが増すなどの好影響が報告されているといいます。
雪室から取り出したそば粉をふるいにかけ、つなぎの小麦粉と合わせて、水を加えながらこねていきます。野﨑さんのやさしい指導のもと、「おいしくなれ」と気持ちを込めながら作業は進みました。
そのかいもあり、茹でたての雪室そばを口にすると、「おいしい。そばの味がしっかり出てる」「香ばしくて味わい深い」という声が上がりました。
通常保存のそばと食べ比べると、風味や色合いも「若干違う」と感じられ「何らかの熟成というか、エイジング効果はあるのかな」と野﨑さんは語ります。
プロジェクトメンバーの3人が共通して口にするのは、雪室を単なる保存技術にとどめず、地域の活性化につなげたいという思いです。
鈴木さんは「雪をエネルギー資源として、地域の省エネだけでなく、地域活性化につながる取り組みにしたい」と言います。
北川さんは「雪で困っている地域や人たちが、このシートを使うことで価値に変えられるようにしていきたい」と語ります。
野﨑さんは「価値を作っている途中」という言葉を使いながら、雪室そばやお米を来訪者に食べてもらうことで坂谷の魅力を伝え、「100年後も坂谷を」という地域の未来への思いとつなげています。
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